映画 「ラストスタンド」 平成25年4月27日公開 ★★★★☆
極悪犯コルテスを極秘で護送する車が、彼の仲間たちに襲撃される事件が発生。
時速400キロメートルという圧倒的スピードとパワーを誇る車を駆り、コルテスらはメキシコ国境へ向けて爆走する。
FBIはパトカーやヘリコプターを駆使し総力を挙げてコルテスを足止めしようとするが、
最新鋭の銃火器を備えた彼らに太刀打ちできず、追跡隊は壊滅状態。
コルテスたちの進路となっている小さな田舎町で保安官を務めるオーウェンズ(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、
町にある武器をかき集め、住人らと共に迎撃の準備を整える。(シネマ・トゥデイ)
全盛期のシュワちゃんの大ファン、というほどでもないにせよ、
知事まで務めた人がスクリーンに戻ってくれるのはうれしいです。
「エクスペンダブルズ」では顔見世程度でしたが。続編では見せ場をつくってくれ、
そして本作が久々の主演復帰。
・・・のわりには「シュワちゃん、よいしょ」感はほとんどなくて、大物の友情出演とかもなし。
どちらかというと「おいぼれキャラ」の田舎の保安官が老体にむちうって頑張る・・・・って話です。
アリゾナ州ソマートン。
メキシコ国境にほど近いなんの刺激もない平和な田舎町で、警察はあっても開店休業状態。(この辺「ホット・ファズ 」っぽい)
事件があってもセコイものばかり。そこで働く初老の堅物の保安官がオーウェンズです。
たいした娯楽もないこの町の人たちはアメフトの応援にでかけてしまい、
残ったのは非番のオーウェンズと同僚の警察官、のんびりお茶を飲む年寄りやイカレ気味の変人たち。
一方、麻薬王のコルテスが移送中に脱走。
あの「藁の楯」のSPたちに比べたら、うんと厳重な警備をしいていたのに、もうFBIの威信はズタスタです。
とにかく手下の部隊の賢いこと。ハイテク機器も半端なく、敵ながらあっぱれ、です。
親分のコルテスは初めて見る俳優さんだったから、
「あ、こいつすぐに死ぬな!」と思っていたら、意外としぶどい。
いやいや、カリスマ性なかなかのもので、前半の主役は彼とその愛車だったかも。
FBIもSWATも失敗したコルテス一味の追撃に、メキシコ国境の最後の砦として立ちはだかったのが
オーウェンズとその仲間たちなわけです。
(この辺は「十三人の刺客 」と思い起こしました。
「コステロがこの町を通れば、オレたちの問題になる」
平和な日常とは一転、大バトルとなるわけです。
仲間といっても、精鋭とはとてもいえないポンコツ集団。
事なかれ主義だったり銃もろくに扱えなかったりとにかく実践経験のない人たちですから。
あまりの人材不足に拘留していた罪人まで釈放して手伝わせちゃうのにはあきれました。
おまけに副保安官に任命しちゃうし。
敵はものすごいハイテク兵器をたくさん持っているのに、オーウエンズチームの武器は
町の兵器オタクが収集した第二次世界大戦の旧型兵器だけ。
常識で考えて勝つわけないんですが、
このハンディキャップをはねかえそうとする異常な力は、
「・・・なわけ、ないじゃない!」と思いつつも大興奮でした。
(アメフトの試合において行かれた)町のお年寄りたちも、危ないから避難するように言っても聞きやしません。
「今モーニングセットを頼んじゃったしぃ~」
「注文受けて、今作り始めちゃったしぃ~」
なんていって、カフェの椅子から立ち上がろうともしません。
もちろん彼らは戦闘力にはなりませんけど、
「なにがあっても動じない」という心の強さは、肉体の強さ以上に ピンチを回避する力を持っていますね、
小柄なおばあちゃんのまさかの反撃にも大興奮。
ストーリーはB級アクションまるだしでも、激しいバトルシーンを畳み掛けずに
刺激のない牧歌的なシーンに笑いをはさみつつ、前半の伏線もちゃんと回収され、
何より(場所は移動しても)時系列そのまま。
それも週末のほぼ24時間程度の限られた時間軸の中で起こった出来事なので
緊張感を保ちつつ最後まで楽しめました。
時速400キロ出るモンスターカーならよほど燃費も悪そうで、
沿線のガソリンスタンド封鎖してしまえば、相手は手も足もでなさそうですが、
そういうのは気づいても言わないのがお約束ってもんです。
でも、「面白さ絶対保証!」の宣伝コピーはまんざら嘘でもなくて、これ、かなり満足度高いです。