映画 「ブロンソン」 日本公開なし(平成20年製作)★★★★☆
最高に最低な生きざま
1974年、19歳のマイケル・ピーターソンは有名になりたかった。
お手製の散弾銃を作り、郵便局を襲った彼はあっさり捕まり、7年間の刑務所暮らしを宣告される・・・
マイケルは自分を俳優の【チャールズ・ブロンソン】の分身であると主張、そのキャラクターを通し、
その後、34年間に渡り刑務所生活をおくることとなった
「イギリスで最も有名な犯罪者」を描くバイオレンスアクション! (作品情報)
「ドライヴ」を観て、ニコラスWレフンという監督に注目した人多いと思うんですが、私もそのひとり。
日本ではほとんど公開されていないんで、先日「プッシャー 」
そして今日やっと「ブロンソン」をDVDで見られました。
ケチな郵便局強盗で捕まって以来、刑務所でのあまりの素行の悪さに、
人生のほとんどを刑務所や精神病院で送っている主人公は実在の人物です。
↑ 筋肉隆々の体躯にタトゥー、手入れの行き届いたカイゼル髭も立派です。
けっこう「いい人」にも見えますけど、
まあこの人物をどれだけ再現するか、なんてことはどうでもいいので、
映画のことだけ考えましょう。
いろんなバイオレンス映画観ましたが、これってどこか突き抜けた究極な感じです。
暴力振るうからにはなんらかの目的があるんでしょうが、それが全く見えてこない。
かといって愉快犯でもないし、腕力のセーブができないのと、
どっか常人と回路がちがってるんでしょうか。
こういうどうしようもない人に、神様はなぜか天賦の才能を与えてしまうようで、
格闘家としての資質だけでなく、アートの才能もただならぬものがあります。
冒頭は舞台の上、観衆を前に自分の半生を語る主人公。
おかしなメークをしての一人芝居も、表情豊かな語り口も間の取り方も一流です。
すごくわざとらしく笑ったりするんですが、実は心から楽しんでいるんじゃないかと思うくらい。
ただこういうパフォーマーヴァージョンはほんの一部で、
トム・ハーディー、登場シーンはほぼ全裸です。で、血まみれ。
武器を携えた刑務官何人も相手に全裸で応戦して、けっこういい勝負。
当然最後にはよってたかってボコボコにされて拘束されて檻の中。
それでも全然めげていないんです。
力の強さもですが、心の強さもものすごい。
心が折れる、なんてこと、一度もないんだろうな。
危険人物として合法的なリンチをうけても、
精神療法としての過激な薬物療法をうけても、
廃人になることもなく、即復活!
公開が同時期だった「ダークナイト」のジョーカーなんかと比べてしまいますが、
めちゃくちゃ度では断然マイケルの勝ち、です。
とにかく主人公を演じたトム・ハーディーの怪演に圧倒されました。
あのボカシだらけの全裸格闘シーンは、あんまり映画館ではみたくないですが、
これを観た後で、「ダークナイト・ライジング」のベインに出合いたかったな。