映画「ル・アーヴルの靴みがき」 平成24年4月2日公開 ★★★★☆
北フランス、ノルマンディー地方の港町ル・アーヴル。
かつてパリでボヘミアンな生活を送っていた元芸術家のマルセル・マルクスは、
ここで靴磨きを生業にしている。
駅や高級革靴店の前で仕事をしているが、日々の稼ぎはわずか。
だが、家には自慢の女房アルレッティと、愛犬ライカが帰りを待っていてくれる。
決して豊かではないが、毎晩呑みに行きマルセルはそんな暮らしに幸せを感じていた。
ある日、港にアフリカ・ガボンからの不法難民が乗ったコンテナが漂着する。
警察の検挙をすり抜けた一人の少年イドリッサは、港でマルクスと偶然に出会う。
イドリッサの母親がいるロンドンに送り出してやるため、
密航費を工面しようとマルセルは奮闘するが、
時を同じくして、妻アルレッティは体調の不調をうったえ入院、
医師から不治の病を宣告される。 (GOO映画)
「靴磨きと羊飼いが一番神に近い仕事」だといいます。
極めれば奥深い仕事ですけど、マルセルの働きぶりからはその気配なし。
客観的に見れば最下層の日銭稼ぎに違いないのだけれど、
しっかりものの最愛の妻アルレッティのおかげで、つつましくも幸せな毎日。
不法難民の少年を警察から守り、母のいるロンドンに渡航させるため、
ル・アーヴルの人たちが協力する人情話・・・
このふたりもかなり変わっているけれど、ルネ警視とかリトル・ボブとか
まわりに人たちもかなりのものです。
ストーリーとしては「君を想って海を ゆく」に激似なんですが、
このほのぼのした非現実的な世界はなんなのでしょう!
「何これ?」と思いながらも引き込まれてしまうアキ・カウリスマキの世界ですね。
身なりを整え花を持って妻のもとへ・・・
たった一枚のよそ行きのワンピースにほほ紅をさして夫を迎える・・・
年月を重ねたこういう夫婦を見るとこちらまで幸せな気持ちになれます。