映画「LOOPER/ルーパー」 平成24年1月12日公開 ★★★☆☆



読んで♪観て♪


未来からタイムマシンで送られてきた標的を消す、“ルーパー”と呼ばれる殺し屋のジョー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)。

ある日、ジョーのもとへ送られてきたのは、何と30年後の自分(ブルース・ウィリス)だった。

ジョーは、未来の自分の殺害をためらい逃がしてしまうが、

その後未来の自分から、やって来た理由を明かされ……。       (シネマ・トゥデイ)


テレビを見ていたら、どうやら近い将来タイムマシンを作るのは可能だと言ってました。

物理的にすごく早く移動する技術が開発できれば、少なくとも未来へは行けるんだって!

でもそれって未来といってもちょっと先、くらいですよね。

それだったら、日本はイギリスより9時間未来を生きてる、みたいな、時差のほうが

楽しいんですけど・・・・


タイムスリップやタイムトラベルは映画の中ではひとつのジャンルになってますが、

ここでは、30年後から送られてきた人間を秒速で射殺して終わり、というシンプルなもの。

未来は死体の始末が不可能で、必ず見つかってしまうので、タイムマシンで過去に送って消す、

ということらしいのです。なるほど。

一緒に送られてきた銀の延べ棒が報酬で、ジョーはそれをこつこつため込んでいます。


ある日「金の延べ棒」とともに送られてきたのは30年後の自分自身。

彼を殺してループを閉じ、報酬を手に「30年の余命を生きる」というのがルーパーのセオリー。

ところが、ジョーは未来の自分を撃ち損ね、オールドジョーは街中を逃走。

時空を超えた同じ人間が複数存在することは非常によろしくないことだから、

二人とも組織に追われることとなります。

「未来の自分をちらっと見てしまう」程度なら、タイムループものにはよくありますが、

ここではふたりのジョーが争ったり話し合ったり、じっくり向かい合ってるのが

おかしな設定だけど、それなりに面白かったです。


「お前の行動はおれの記憶に残る」

そして、ヤングジョーが体を傷つけると、オールドジョーに古い傷跡がのこったり、とか。

同じ人間ですからね。

人格だって同じはずなのに、30年たつといろいろ事情も変わってきます。


ヤングジョーは貯めた財産の安定した将来を望んでいますが、

オールドジョーは、愛する妻との生活だけが生きがい。

なので、30年前に戻ったら彼女を殺させた組織のカリスマ、レインメーカーを殺そうと企んでいたわけです。

未来のレインメーカーである「その子」幼児ながら、

そのただ者でない感じは、ブルースもジョセフも完全にしのいでいます。

(今回彼らはけっこうな小市民ぶりなので)


オールドジョーにすれば、巨悪の種でしかないシド(レインメーカーの幼児時代)も

ヤングジョーにとっては、好意を寄せている女性の最愛の子どもであり、

このふたり、(同一人物なのに)完全に対立しています。

「30年後、自己中心的だったお前を彼女(妻)が救う」

とかいわれても、そんな会ったことない女性なんて興味ないですから。


それにしても、ブルース・ウィリスとジョセフGレヴィットって似てますかね?

唇のうすさを強調したり、眉をよせてしわを作ったり、

ジョセフのほうはたぶん顔もちょっといじってる感じでしたが、

ブルースはそのまんま。

頭の形とか、骨格が全く違うから、どう頑張ってみても同一人物には見えませんでした。

5歳→35歳だったら激変するでしょうが、25歳→55歳だったら、同じ30年後でも

皮膚の表面とか肉付き以外はほとんど変わらないでしょうからね。


愛する気持ちは美しかろうが、それが憎しみや復讐となって暴力の連鎖が繰り返されること。

それを断ち切るには、まず冷静に考えること、そして自己犠牲を含めた

究極の愛を貫くことかな?


タイムパラドックスの妙と派手なアクションを楽しむ作品と思っていたら、

ちょっと胸キュンのラストは意外でした。


主演の二人の印象も薄くて、むしろ脇を固めるエミリー・ブラントやポール・ダノ、

それにシド役の少年がすごかったです。

ピアース・ガニォンという子だそうです。覚えておこう・・・