映画 「ホビット 思いがけない冒険」 平成24年12月14日公開 ★★★★★

原作本 「ホビットの冒険」 J・R・R・トールキン 岩波書店


読んで♪観て♪


ホビット族のビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)は、

魔法使いのガンダルフ(イアン・マッケラン)から思わぬ旅の誘いを受ける。

それは、ドラゴンに乗っ取られたドワーフの王国を奪取するというものだった。

ドワーフの戦士トーリン(リチャード・アーミティッジ)が率いる13人のドワーフたちと、

最初の目的地“はなれ山”を目指して

ワーグ、オークといった怪物や魔術師がひしめく荒野を進んでいくビルボ。

そんな中、ゴブリンが巣食うトンネルに入っていった彼は、

そこでゴラムという醜悪な化け物と出会う。  (シネマ・トゥデイ)



読んで♪観て♪


トールキンの壮大なファンタジー。

映画のほうでは「指輪物語」(ロード・オブ・サ・゙リング)のほうが先に公開されたので、

ホビットのほうは「エピソードゼロ」みたいな扱いですが、

原作としてはこっちが最初ですし、

岩波書店の定番の児童文学ですからね、

私も小学生の時、学校の図書室で読みました。

「指輪物語」は評論社だし長いし、大人向け、のイメージです。


「ホビットの冒険」を読んだのは何十年も前のことなのに、

お客をもてなすのが好きなホビットの住んでいる、清潔で快適なホビット穴とか、

ガンドルフとドワーフたちがそのビルボの家にいきなり転がり込んできて、

さんざん飲み食いしたあげくに、お皿を洗って電光石火で片付けるところとか、

ゴラム(ゴクリ)とのなぞなぞ勝負のシーンとか、

まるで読んだのが昨日のことのように思い出されて大興奮でした。


ドワーフたちは深く響く声で昔から歌い継がれてきた歌を「いんいんと」奏でた・・・

というような表現があって、その当時は「いんいんと」の意味も分からなかったのですが、

それがまさにこの映画の主題歌「Misty Mountains Cold」なんですよね。

予告編でこの曲を聴いたとき、思わず鳥肌がたちました~!


とにかくファンタジーの傑作ですからね、

「スター・ウォーズ」も「ハリー・ポッター」も「トワイライト」だって

パクリといわないまでも、かなり似ている部分あると思います。


昔子どものときは、わくわくする冒険のお話として読んだのですが、

「ホビット」は児童文学だけあって、

さりげなく人生訓のようなセリフがちりばめられていたような・・・

「悪を封じるのは偉大な力ではなく、

普通の人々の日々の行いや愛情だ」

とか

「真の勇気は命を奪う時ではなく

人の命を守るときにあらわれる」

とか・・・


13人のドワーフたちのなかでも、トーリン・オーケンシールドは

エレボールで栄華をきわめたドワーフ族の王族の末裔なのですが、

都を焼いたスマウグ(火竜)への復讐心と、

そのときに助けてくれなかったエルフへの恨みをいつまでも持ち続け、

また、同行したホビットのビルボのことを、「足手まといだ、すぐに逃げるだろう」と

いつも冷たく言い放つ、「高貴で勇敢だけれど高慢で頑固な人物」として描かれています。


でも旅を続けるうちに、次第に心が和らぎ、頑なだった自分を恥じるトーリン。

感動的な「和解」がラストを盛り上げます。


とくに、ビルボが度々行方不明になって、旅を放棄したと誤解されるところでのセリフ。

「そうさ、ぼくは故郷に帰りたくてたまらない。

だってそこが大好きだから」

「君たちに故郷がないことも知っている。

なぜなら君たちは故郷を失ったから。

だから、それを取り戻す手伝いをしたいんだ」


英雄でも戦士でも「忍び」でもないビルボ・バギンズの心ばえ、心意気に

ちょっと泣きそうになりました。



スマウグの大きな目が眠りから覚め、いよいよ戦いが始まるかと思ったところで

唐突にエンドロール!

三部作というのを知らずに観ていたので、かなり驚きました。


でもとりあえず、後味のいい小ハッピーエンドだったので

これで良しとしましょう。


3Dメガネがちょっと疲れたけれど、

ホントに三時間はあっという間でしたね。


あと二作分も原作のストーリーは残ってないと思うんですが、

「ロード・オブ・ザ・リング」とも整合するように、上手に構成するんでしょうね。

ともかく、楽しみ。

そしてオススメです。