映画 「ウルトラミラクルラブストーリー」平成21年6月6日公開 ★★☆☆☆ 

原作本 「ウルトラミラクルラブストーリー」 横浜聡子作 角川書店 ★★★★☆ → ウルトラミラクルラブストーリー①


読んで♪観て♪


青森で農業を営みながら一人で暮らす水木陽人(松山ケンイチ)は、

やることなすことすべてが常識外れな町の変わり者。

ある日陽人は、訳あって東京からやって来た神泉町子(麻生久美子)に一目ぼれする。

恋を知らない陽人にとっての生まれて初めての恋は、

常識を超えた奇跡のような出来事を次々に呼び起こす。(シネマ・トゥデイ)


3年前に原作を読んでいたものの、見そびれていました。→こちら

けっこう期待していたようですね。

映画のほうは「あまりに哲学的で難解・・」っていう感想が多いようですが、

本を読んだときはとってもシンプルだと思ったんですけどね。


陽人は、私たちの頭の中にある様々な障壁をとっぱらった自由な存在だと思ったんですが、

映画の中では、リアルな発達障碍者で、

なんというか、この青年との距離の取り方を現実的に心配してしまって、

なかなかそれ以上のことを考えられないんですね。

松ケン、うますぎるんだもの。

陽人の存在は象徴的で、もっとウソっぽくてよかったのに、

役に命を吹き込んでしまって逆におかしくなってしまった気がしました。


町子先生は、風変わりな青年を前に当惑する東京の女性だったのが、

「進化」について熱く語り始めたと思ったら、知らぬ間に「あっち側の人」になってしまい、

だんだんおかしな人、インスタント沼の「ハナメ」か?って思いました。

どんな役でもOKの麻生久美子だから成立するんでしょうけど。


町子先生の主張は

「生物は感じた恐怖を遺伝子情報に残して進化する」

「でも人間は自然を破壊して恐怖をなくすから、いつまでも進化しない」

・・・みたいなことを熱く語っていましたが、

たしかに生物は環境に自分たちを順応させようとするのに

人間だけが環境のほうを操作してしまう、

それは生物の一種としては僭越なことだと思うけど、

保育園の授業でいうことかなぁ・・・


環境に適合できる種類の人間だけが子孫をのこしていくってことは

逆にいったら適合不可の人は生きるなってことですからね。

すべての人間に住みやすい環境を追及して、そのうちに滅亡していくんだろうな。

・・・・なんてことはどうでもいいんですが・・・・


おそらく町子先生は横浜監督の分身なんでしょうが、

「農薬をかぶって進化した陽人」はどう解釈していいものだか・・・・


この「奇妙な話」はあまり深読みしないで、楽しむのが正解だと思います。


日本映画でありながら、町子先生以外はかなりディープな津軽弁で

想像以上に聞き取れなかったです。

DVDだと字幕も選べるのですが、

映画館ではネイティヴの津軽弁だけでしょ?

はたして一回みてわかるものだか?


DVDの字幕も標準語ではなく、津軽弁そのままなのですが、

漢字かな交じりだと、さすがに日本人だったらほぼ理解可能です。

標準語になおしたら、きっと差別的な表現とか、映画ではマズイ単語もあったのでは?

沖縄のウチナーグチもかなり聞き取れないですが、

沖縄が舞台の映画では、ヤマトグチに言い直したり字幕つけたり

いろいろ配慮して誰にでもわかるようにしてますが、

あえての親切心を排除したこの作品、

それだけでも画期的だと思いました。