映画「CUT」平成23年12月17日公開 ★★☆☆☆



読んで♪観て♪

映画監督の秀二(西島秀俊)は、いつも兄から金を借りて映画を撮っていたが、

どの作品も商業映画として映画館でかけることさえできずにいた。

そんなある日、秀二は兄が借金トラブルで死んだという知らせを受ける。

兄はヤクザの世界で働いていて、そこから秀二のために借金をしていたのだった。

しかし、俊二には金を返す当てもない。

彼は、殴られ屋をすることで返済することを決め、ヤクザの事務所内で働く陽子(常盤貴子)と

組員のヒロシ(笹野高史)を巻き込みながら、殴られ屋を始める。

殴られるたびに自分の愛する映画監督たちが撮った作品を思い浮かべる秀二。

だが、借金返済はそれほど簡単なものではなかった……。    (GOO映画)


前回のオスカーは「ヒューゴの不思議な発明」とか「アーティスト」とか、

中途半端の映画愛に満ちた作品が受賞していましたが、

「映画愛」で獲れるもんなら、これなんてものすごいです。


売れない映画監督の主人公が、兄の遺した借金返済のために

ボコボコに殴られる話です。

2時間ず~っと、これだけ。


秀二は古き良き映画を愛し、

尊敬する溝口監督や小津監督の墓参りをしたり、

「かつて映画は真の芸術であり、真の娯楽だった」

「シネコンのクソ映画!」

と街中を拡声器でがなりたて、

ビルの屋上で古い名画の観賞会を主宰しているような映画一筋人間。


兄に借金して3本映画を撮ったものの全く売れず。

兄はヤクザ仲間に1254万円の借金を残して殺されてしまいます。

秀二はその金を返せと迫られ、でもなんのあてもなくて、

自ら「殴られ屋」となって1発1万円とかで殴られる「商売」をはじめる、というもの。


兄の借金に責任はあるものの、連帯保証人になってるわけでもないから

返済しなくてもいいんじゃないの?

だいたい法的に有効な証書もなさそうだし、少なくとも兄は非合法に殺されてるんだから

警察マターにしてしまえば、借金が秀二にまわってくることはないと思うんですが・・・


みたいなことを考え出すと、とってもこの映画みられないです。


とにかく秀二役の西島秀俊がプロのヤクザとか格闘家とかに全身を殴られ続け

トイレのタイルを血だらけにし、顔がはれ上がり、意識を失いかけても、

大好きな映画のタイトルをコールしつづけ、

その横でヒロシ(笹野高史)が代金をしっかり集金する、というものすごい図を

まるで気高い殉教者のように撮ってるんですよ。


秀二はひ弱に見えて実は腹筋とかかなり硬そうですが、

それでも容赦なく殴られたら骨折とか内臓破裂とか起こしそうですが、

そこは「映画愛が起こす奇跡?」で、翌日には元気になってまた殴られに行きます。


殴るほうからすれば、血だらけの痩せた男を殴って楽しいか?お金払う価値あるか?

って思っちゃいますが。

図体大きい割にお腹とかフカフカした男を一発でダウンさせたら、それはそれは楽しくて、

気前よくお金払っちゃいます・・・(って、私の個人的感想です、失礼しました)



昨日観た「フーディーニ」だって、あんなに鍛えていても不意打ちの一発で死んでしまいましたから

こんなのおかしいだろ!って思いますが。


とはいえ、ストーリーは単調ながらも、俳優陣の演技やリアルな特殊メイクには満足。

いきなり音が途切れる緊張感の演出や、狂気のなかに一瞬きらめく美しさとか、

けっして一般的にオススメはできないけれど、

好きな人たちが集まって大熱狂できる種類の作品だと思います。

(ちなみにこの映画が「シネマート新宿」にかかっていた時

私は同じ映画館で「ラブ・アゲイン」なんか観てました、ごめんなさい。)


秀二の選んだ100本の名画、というのも、英語タイトルで登場するのでわかりづらかったですが、

なかには観た事ある作品も。

「午前10時の映画祭」なんかでチョイスされているもの(ダブっているのもありますが)より

もっと格段にカルト路線です。


レンタルなんかでは借りられないんだろうな~とおもっていたら、

HMVのこんなサイトを見つけました(→こちら

あ、これレンタルではなくてセルですし、54件しかないから、

やっぱり100本全てをみるのは難しそうだし、

映画検定1級でも受験しないかぎりは観る人なんていないのかもしれないです。


54タイトルの中では私はわずかに8本しか観てないですが、

命を捧げても良いくらいいい映画、は残念ながらなかったです。

逆にシネコンでかかってる映画、

人がいっぱい入っているのはたしかに「クソ映画」多いですが、

別に見たい人がお金払って観ているのだからいいじゃん!って思います。

それでも腹たったら、拡声器でどならないで

ブログに悪口書くくらいなら何にも問題ないですよね。


それよりも、秀二はこのあとも借金してまた映画をとるみたいですが、

ここまで単純な人の作った映画は、絶対につまんないだろうし、売れないだろうし・・・

そうなると、また借金返せずに殴られるのかなぁ・・・・