映画 「ワン・デイ 23年のラブストーリー」 平成24年6月23日公開 ★★★★☆

原作本「One Day ワン・デイ」デイヴィッド・ニコルズ 早川文庫

★★★★☆


読んで♪観て♪



学の卒業式後に出会ったエマとデクスターはすぐに意気投合。

真面目で恋に不器用なエマと、夢見がちで自由奔放なデクスターの関係は、

1988年7月15日=“聖スウィジンの祝日”に始まった。

以来23年間、親友として一緒に旅行に行ったり、ケンカをしたり、

恋の悩みを相談したりしながらそれぞれの人生を歩む。

愛する気持ちを心に秘めていたエマだったが、ある年の7月15日にデクスターから

他の女性と結婚する事を打ち明けられる。 (GOO映画)



ひと組の男女の友情の軌跡を、二人が出会った7月15日に限定して綴った

とてもユニークな切り口のドラマです。


卒業式の夜、盛り上がってエマの部屋に来たものの、一線を越え損ねて朝を迎え

電話番号を教えるだけで、将来の約束をしたわけでもないのに

この出あったばかりの二人は、このあと、

長い年月をかけてドラマを紡いでいくことになるのです。


性格は真逆なのに、いや、だからこそお互いの悩みを相談して救われたり

何が起こるか想定できない旅行が楽しめたりするんですけど・・・

この二人、親友と言っても完璧プラトニックというわけでもなさそう。

お互いに束縛しあわず、相手のパートナーにもやきもち焼けないというのは

惹かれあう二人としては、内心は辛いものがあったでしょう。


小説家になる夢を捨ててないもののチャンスに恵まれず

場末のメキシカンレストランでのバイトが本職になりそうで焦るエマ。

一方の裕福な家庭で両親に愛情をそそがれて育ってきたデクスターは

黙っていても女性には不自由せず、時流に乗って仕事もどんどんやってきて、

テレビの深夜番組の司会者に抜擢。

低俗番組ながら、一躍有名人となっていきます。


「思いあがって親を甘く観るな」

と怒る父。

「これで目標達成?立派な仕事ではないわ」

という母も、病気で帰らぬ人となります。


30才を過ぎて仕事のオファーもなくなり自信消失のデクスターの前に現れた

良家の子女シルヴィアとの交際。

一方、はじめて自分の小説の原稿料を受け取り、夢の実現まであと一歩。

すっかり垢ぬけて輝いているエマ!

彼女はだれよりデクスターに喜んでほしかったのに

彼から「シルヴィアと結婚すること、そして近々パパになること」と告げられるのです。


これで二人は決定的に別れる、と思いきや

妻との間もうまくいかず、自分のふがいなさに落ち込むデクスター

「領収書があればボクを返品できたのにね」

そして妻のシルヴィーを友人の成功者カラムに寝とられてしまいます。


エマを求めてパリに行くと、今度は彼女は高名なピアニストと同棲中・・・


エマとデクスターの人生は共に生きたり別れたり距離をおいたり

うまくかみ合わなかったり・・・

そして二人に決定的な「別れ」が訪れたのも7月15日でした。


もうホントに行き場のなくなったデクスターは実家の父をたずねるのですが

そこで父が

「エマがいると思って生きてみたらどうだ。

わしは10年もやってきた」

っていうんですよ。・・・・・(涙)


悲しくてたまらないことも人は気持ちを切り替えて生きていくことができるんですね。


2011年の7月15日、デクスターは娘のジャスミンと想い出の丘にのぼります。


23年・・・・人の一生のなかでも20代前半から40代半ばにかけてのこの期間は

人生のハイライトですよね。

出会ったとき「40代になった僕たちなんて想像できない」

ってデクスターはいっていたけれど、

その時はやってくるし、その自分を愛せなかったら人間生きてなんかいけません。

ありきたりだけれど、その一瞬一瞬をだいじに生きていかなきゃ!って思いました。

こんな深夜にちまちまブログ書いてるのだって、後からみたらものすごく幸せなひととき、

なんですよね。


私は最初に本を読んだんですが、ストーリーが連続していない故の読みにくさは

映画をみてすっきりしました。

親の死、とか結婚とか離婚、とか、重大事件も7月15日でなければあっさり省略だから

もう人生サクサク進みます。

舞台が日本ではないので、世相とか時代感とかわかりづらいのですが、

はじめて携帯をもったり、カーステレオがオートチェンジャーになったり

なんとなく時代の変化は感じていました。

映画の話題がよく出るのですが、台詞のなかのタイトルは

「死霊のはらわた3」と「トリコロール青」だけ。

せめてもっと映画のタイトルを出して欲しかったです。


ファッションもきっと時代を反映していたのでしょうが、

なんかよくわからず。

主役のふたりがあまり老けメークをしていなかったのは、むしろ自然で良かったです。

1965年か66年生まれの二人なので、今40代半ばの人だったら

もっと自分の過去にシンクロするのかもしれません。


ところで、7月15日の卒業式、ということからして日本ではイメージしにくいですね。

いろんな季節がでてこなくてひたすら夏ばかりの映画って映像的にどうなんだろ?

エマの雰囲気はアン・ハサウエイじゃないでしょ?

なんて思ってましたが、映画を見たら意外と問題なしでした。


2004年7月15日の「あの場面」

映画ではあまりに突然でぽか~んとしてしまいますが

そこはエマ目線で書いている原作本をぜひ読んでください。

何回も思いだし泣きしてしまいました。


この作品は「読んで~観て~読んで」かなぁ。