映画 「宇宙兄弟」 平成24年5月5日公開 ★★☆☆☆

原作コミック「宇宙兄弟」 小山宙哉 週刊モーニング連載



読んで♪観て♪

星空を追い続けていた兄弟─天然パーマの兄・南波六太とツンツンヘアの弟・日々人。

幼い2人は「2人で一緒に宇宙に行こう」と約束を交わす。

時は過ぎて2025年。

ヒビトは約束通り宇宙飛行士となり、世界中の注目を集めながら月へ旅立とうとしていた。

一方、ムッタは勤めていた自動車会社をクビになり意気消沈。

そんなムッタのもとに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から宇宙飛行士選抜試験の

書類選考通過を知らせる手紙が届く。  (GOO映画)



原作コミックはもちろん未読ですが、

ずいぶん前に、シネコンで「コミック試し読み」というのをもらっていました。


読んで♪観て♪



冒頭部分は、もう、「まんま」の実写化でした。

小栗ムッタと岡田ヒビトはもちろん、宇宙飛行士選抜試験の受験生たちも

キャラクターそのまま。(二人の両親はちょっと違ってたかな?)

私は少々苦手ですが、漫画ならではの過剰な表現とか、

ほぼ意味のない全裸のシャワーシーンとか、これもコミックのままかな?

と思いつつ見ていましたが、

原作ファンの人にはかなり物足りなくて不満が残る・・・そうですね。

17巻もあるコミックを2時間にまとめるのだから、そりゃ無理ですよね。


お兄ちゃんのことをいつも追いかけていた弟の方が、次第に高い評価を受けて

兄を追い越していく・・・という図は、別に宇宙飛行士でなくともよくある話で、

そんな状況の中でも誰よりも強い絆で結ばれているのが兄弟ってもんです。

私はついつい親の目線でみてしまうのですが、

いくら大人になったとて、少年時代の面影はそのままで、可愛いったらないです。

子役のふたりもイメージそのままでぴったり繋がり、これは「実写の勝ち」ですね。


ムッタは1993年生まれ、ヒビトは1996年生まれ。

えっ!ついこの前じゃないですか!

UFOを二人で目撃して宇宙に目覚めたのが2006年。

ヒビトが月に行き、ムッタが宇宙飛行士を目指すのが(ムッタ31歳だから)2024年。

つまり、近未来の話なんですよ、これは。


12年後なのに携帯の形も今と同じだし、部屋の電化製品も今と同じ。

この程度だから、メインの宇宙のシーンだって推して知るべし、です。

さらに2006年に小学生の二人が使っているのは旧式のカセットテレコですよ!

この時代もうデジタルオーディオあったと思うし、それがなくても

MDウォークマンくらいは買ってもらえたはず。

そのときのカセットテープを2024年に聞くのですが、今から12年後に

カセットデッキのある家、どれだけあるんでしょうか?


この映画、「アフロ田中」みたいなゆる~いコメディを想像して行ったら、

意外と緊張つづきの展開で驚きました。

一番時間をかけているのが、

「宇宙飛行士候補生になるための選抜試験」で、

789名が書類で45名に絞られ、そこから二次審査で6名に。

そしてこの6名が24時間監視のもと、

0.8気圧の閉鎖空間での適応力を試されるのです。


身体能力や学力、語学力などは当たり前で、

人並みはずれたタフな精神力も必須。

(先日、宇宙に半年も滞在して超笑顔で帰還した古川さんを見ていてそう思いました)

ホワイトジグゾーパズルをやる、という話は聞いたことあるんですが、

そのほかの課題はホントなんでしょうか?

「グリーンカード」で人間関係をズタズタにするミッションとかもあり?


もちろんフィクションだし、近未来だし、でたらめでいいんですが、

これが真実と信じて、あとで大恥はかきたくないなぁ・・・


ロケットや月面のチープ感はしょうがないとしても、お話がぐだぐだ。

いくらコミックだといっても、もうちょっと真面目にやってくださいね!


ところが、こんなふざけた話なのに、本物の宇宙飛行士の登場にはびっくり。

野口さんも出てたし、あの月面歩行のオルドリンの登場シーンには感激しました。


ロケットが飛ぶのは、

飛行士たちの勇気と情熱、

管制官たちの叡智とプライド、

見守る人たちの希望と祈り・・・・

そういったものの力をもらうからだ。


そんな感じのせりふがあるのですが、

人々のひとつになった思いが、はるか38万キロもの先の月に

人間を飛ばすのでしょうね。


ところで、あのアポロ11号の宇宙飛行士トリオ。

コリンズはちょっと自信ないけれど、アームストロング船長とバズ・オルドリンだったら

(年とってたって)私だって顔くらいわかります。

ましてや宇宙めざしているのだったら、わかって当然。

「あんた、誰?」なんて失礼なことはいわないはずです。


とにかくつっこみどころ満載すぎて、収拾がつかないし、

肝心の「なんで宇宙飛行士になりたいか」というのも

イマイチぴんときません。

医学や宇宙工学の研究者を差し置いて、元自動車「デザイナー」が

最終に残る客観的意味もわからず、

というか、ストーリーの勢いに乗りきれず、最後まで冷静に見てしまいました。


ともあれ、「夢」ばかりを連呼し、ディテールもいい加減だから、

子どもとかには見せたくないですが、

小栗・岡田ファンだったら、オススメです。

NASAへ行っても体格的にも見劣りしないし、髪型も含め、見どころあったと思います。(褒め加減、ちょびっとですみません)