映画 「ガール」 平成24年5月26日公開  ★★★☆☆

原作本 「ガール」 奥田英朗 講談社 ★★★★☆

読んで♪観て♪

大手広告代理店勤務の29歳シングルの由紀子(香里奈)は、

恋人(向井理)はいるもののどうもしっくりいかず、仕事も不調だった。

30歳を目前にして焦りばかりが日々募っていく。

だが、不動産会社に勤める友人の聖子(麻生久美子)や、

文具メーカー勤務の容子(吉瀬美智子)、

シングルマザーの孝子(板谷由夏)らも同じように悩んでいた。(シネマ・トゥデイ)


完成披露試写会。

若い女性の群に紛れて、アリーナ席の真ん中で観てきました。

香里奈も板谷由夏も吉瀬美智子も壇れいも細くて脚長くてきれ~い!

完成披露ではお約束のプラカード。

それに上から降ってきたキラキラのテープも思わずお持ち帰り・・・


読んで♪観て♪

奥田英朗の小説はとりあえず「サウスバウンド」とか「ララピポ」とか「イン・ザ・プール」とか

映画化されたものはたいてい読んでいます。

「ガール」は短編集で、なかには表題作も収められているので

この50ページほどの短編を思い切り膨らませたのかと思ったら、

4編を選んで29歳から36歳までの4人の働く女性のドラマを群像劇として進行させ、

しかもこの4人はホットヨガで知り合った親友という設定。


原作のタイトルに合わせると・・・

①「ヒロくん」 ゼネコンの女性課長、聖子(麻生久美子) 

         ヒロくんというのは、上地雄輔演じる癒し系の夫です。

②「ガール」  広告代理店のおしゃれ命の29歳の由紀子(香里奈)と

         女心の分からない恋人向井理。

         ド派手な先輩社員のお光(壇れい)とイベント企画を。

③「ワーキング・マザー」 6歳の息子をもつシングルマザー孝子(板谷由夏)        

          なにもかも一人で背負いこもうとする頑張り屋さん。

④「ひと回り」  34歳独身の文具メーカー社員の容子(吉瀬美智子)

           超イケメンの新入社員(林遣都)に恋してしまう・・・


小説はホントに面白くて、立場の違う4人の女性たちが活き活き描かれていて

作者はオジサンなのになんでこんなの書けちゃうのか不思議なほどでした。


映画ではこの4人を「親友」にしたことで、かなりリアル感は薄れたのですが、

小気味良い場面転換で、テンポよく楽しめました。


「女の子はいくつになってもお姫様」といって育てられた由紀子。

「お洒落は女の子が手にした生きる力」

「お洒落はプラスのエナジー、命のビタミン」

と言い切る彼女は

29歳の今も可愛い服や小物に目がなくて、それは半分仕事の一環でもあるのだけれど、

部屋の中はこの先は絶対に着られないようなガーリーな服で足の踏み場もないほど。


「女の子ってなんでできている?

砂糖やスパイス、すてきな何か・・・」

マザーグースの詞がうかぶような可愛くてきれいなもので元気になるのがガール、

なんでしょうが、

そんなこんなで女子力アップ、なんていっていたられるのは20代前半まで。


「ガールというのももう潮時でしょう?

29歳はまだ若いけど痛くなりつつあるお年頃よ」


という寿退社の同僚や


「女子ということば嫌いです。

いい大人なのに未熟が許されると思っている、

得体のしれない明るさも気持ち悪い」


というクライアントの堅物女性担当者。


いろんな言い分を繰り出しているから、どこかに自分に近い人が必ずいて

男性でも女性でも20代でも50代でも受け入れられるかな、と思います。

「女子映画」としては、本家のSATCより好きです。


私たちの母の世代だったら、

女性は20代で結婚し子どもを産み、家庭を守る、というのが「務め」で、

それ以外の選択肢はないといってよかったけれど、

いろいろ選べる今だからこそ、かえって不自由になった、というのもうなずけます。

自分で考えて選んだんだけど、これって失敗?って凹んでしまいます。


孤軍奮闘するシングルマザーの孝子の

「私は社会的弱者なわけ?私にもっと頑張らせて!」

という気持ちにはほろりとしました。

孝子のエピソードは映画では相当カットされていたのがちょっと残念でしたが。


ひとりで主役をはれる4人の旬の女優さんをそろえて、それだけでもとっても豪華。

でも一番目立っていたのは「お光」役の壇れいですね。

原作では派手で明るくてちょっと痛いアラフォー先輩ということだったけれど、

映画ではさらにバージョンアップして、ものすごい突き抜けたキャラになっていて、

壇れいのまさかのコメディエンヌぶりも見どころです。


「女子力」をうたった映画にしては、男女問わず、幅広い世代OKで、

デートムービーにもオススメです!