映画「黄色い星の子供たち」 平成23年7月23日公開 ★★★☆☆


読んで♪観て♪


1942年ナチス占領下のパリ、ユダヤ人は胸に黄色い星をつけるよう義務付けられ、

公園や映画館、遊園地への立ち入りが禁じられていた。

それでも11歳のジョー(ユゴ・ルヴェルデ)と家族、隣人たちは、ささやかな暮らしは続くと信じていた。

同年7月16日、フランス警察によるユダヤ人一斉検挙が始まり、

およそ1万3,000人もの人々がヴェル・ディヴ(冬季競輪場)へと送られる。(シネマ・トゥデイ)


フランスがずっと公表してなかった「ヴェル・ディヴ事件」を知った作品でしたが、

感想書きそびれていました。

「サラの鍵」をみた後に、もう一度DVDで鑑賞。


パリに住む1万3000人ものユダヤ人たちを(ナチスでなく)フランス警察の手で検挙し、

ヴェル・ディヴに閉じ込められたほぼすべてが収容所送りとなって殺害されたのです。


サラの鍵 」がこの事件をベースにしたミステリータッチの壮大な歴史ドラマだったのにくらべて

こちらは、この事件を広く世間に公表する、フランス人の懺悔?的印象でした。


メラニー・ロラン演じるアネットは、非ユダヤ人の赤十字の看護婦。

劣悪な状況の中で収容されたユダヤ人たち、とりわけ子供たちのことを誰より気にかけ、

自分の体をはって守り通そうと正義をつらぬく聖女です。

ユダヤ系のメラニーは、今まで「ナチスに迫害されるユダヤ人の生きのこり」の役が多かったので、

このキャスティングはちょっと意外でした。


「サラの鑑」でも、場内で働く医師や看護婦の姿ありましたから

ありえなくもないヒロイン設定なんですが、

それにしてもあの状況で、たったひとりでユダヤ人たちの状況を改善できると思ったのかしら?


競技場のあちこちに排泄物!というのは

「サラの鍵」では象徴的にありましたが、ここでも控えめに。


診療所つくるより、

「まずトイレを作ろうよっ!」

って思っちゃいますけどね。


アネットの実在のモデルはいないようですが、

ユダヤ人に同情的なフランス人はたくさんいたでしょうし、

こっそり逃亡を見逃してくれる警官とか、ホースで水を与える消防士とか、

自分の危険をかえりみず匿ってくれる人とか・・・


「あなたは生きて!お願い!約束して!」

自分が殺されることを覚悟した母が息子にさけぶ最後のことば。

そして息子の起こした奇跡。


400人しかいない「生存者」にフォーカスしているので

ちょっとハッピーエンドっぽい結末ですが、

事件としてはこの上ない悲惨な「フランスの汚点」ともいえる事件です。


あの日、パリでは1万3000人もユダヤ人が検挙されたんですが、

実際パリにはさらに1万人以上が住んでいたわけで

「その日、1万人ものユダヤ人を検挙から守ったフランス人がいたのです!」

みたいなテロップで映画は終了します。


「サラの鍵」のように、いろんな要素を盛り込んでいないのですごくわかりやすいし、

(残念ながら架空の人物ですが)可愛いユダヤの兄弟に美しい看護婦を登場させて

悲惨な事件のなかの「感動秘話」的ドラマにしちゃうのはやや反則ワザ?


「フランス政府と警察で過去に遺憾なことをしたのは事実だけれど

なかにはユダヤ人を助けようとした人もけっこういたのだよ」

という言い訳がましさがちょっと気になりましたが・・




にほんブログ村 映画ブログ 映画劇場鑑賞へ
にほんブログ村     ←応援クリックお願いします