映画 「奇跡」 平成23年6月11日公開  ★★★☆☆



読んで♪観て♪

離婚した両親がやり直し、再び家族4人で暮らす日を夢見ている航一(前田航基)。

母親と祖父母と鹿児島で暮らしながら、福岡で父親と暮らす弟・龍之介(前田旺志郎)と

連絡を取っては家族を元通りにする方法に頭を悩ませる航一は、

九州新幹線全線開通にまつわるうわさを聞きつけ、ある無謀な計画を立て始める。

                                     (シネマ・トゥデイ)


天才少年漫才コンビまえだまえだと是枝監督、

九州新幹線,

そして「奇跡」というタイトル。

どーもイメージわかず、ピンとこないまま、試写会で鑑賞。


「なんかうすぼんやりした味だな」

「ほんのりした甘さ、とかいえ!」

「この感じがわかるのはまだ早いって」


おじいちゃんの作った「かるかん」をめぐって

こんなようなやりとりがあるのですが、

これ、まったくこの映画のことをいってるように思えました。


「かるかん」て、けっこう大きくて(この作品も2時間超え)

味も歯ごたえもあんまりインパクトなくて、

不味いことはないんだけど、感激するほど美味しくもない。

でも、食べ終わるころには

いらいらも落ち着いて優しい気持ちになれるような・・・・



親の都合にふりまわされる子どもが主人公ということでは「誰も知らない」

キャストや流れる雰囲気は「歩いても歩いても」に近いこの作品。

テーマは「こども」

というか、

「こども讃歌」かな?

批判も問題提起もなく、ありのままのイマドキの子どもに

敬意を払って、愛をこめて作った作品だと思います。


主役は親の離婚で離れ離れになった仲良し兄弟なんですが、

ほかにも5人の小学生の友だちが登場。

この平和で豊かな日本で幸せにみえる彼らですが、

それぞれに一生懸命考え、

我慢してることだってちゃんとあるのです。

おかれた環境の中で、せいいっぱい葉っぱをひろげて

成長していくソラマメの苗のような彼らを

抱きしめてあげたくなります。


是枝監督の作品では、自然音や環境音が大きくて

そこにいあわせてるかのようなライブ感があるのですが、

たまに大事なせりふが聞き取れなくなったりすることも。

そのなかで、「まえだまえだ」の二人だけは

まるで字幕が下に出てるんじゃないかと思うほど、

彼らのせりふは、こちらの心にぽんととびこんでくるんです。

演技力うんぬん以前にこれはすごいことですね。

職人肌のお兄ちゃんと、天才肌の弟、

きっと舞台だって立派につとめられると思いますよ。


公開前なので、結末はいいませんが、

「うすぼんやりと美味しい」映画です。


ただねぇ・・・・

JR九州が全面協力ということなんだけど、

鉄道好きにもう少しサービスシーンがあってもいい気がしましたが。

車両鉄」「撮り鉄」「乗り鉄」の人たちもでしょうが、

「時刻表鉄」には物足りなかったな~