映画 「少女たちの羅針盤」 平成23年5月14日公開 ★★☆☆☆
原作本 「少女たちの羅針盤」 水生大海 原書房 ★★☆☆☆
新進女優の舞利亜は、ネットシネマの撮影のため生まれ故郷に戻ってくる。
誰にも言わなかったのに、監督(前田健)はなぜか
自分が伝説の女子高生劇団“羅針盤”の一員だったことを知っていた。
4年前、瑠美(成海璃子)と梨里子(森田彩華)、かなめ(草刈麻有)の3人は
違う高校に通う蘭(忽那汐里)を誘って新しい劇団を立ち上げ……。
(シネマトゥデイ)
まず、原作の小説について。
広島県福山市が募集する
「ばらの町 第一回福山ミステリー文学新人賞」の優秀作となったのがこれ。
撰者はあの島田荘司だとか。
短編ホラー映画のヒロインが
その撮影の中で数年前の「事件」との関係を問われる現代シーン。
ロケーション・クランクイン・・・・オールラッシュという撮影用語をタイトルにした
奇数章がこれにあてられています。
一方、女子高校生劇団「羅針盤」の青春小説部分の過去シーン。
船出・巡航・嵐・・・・といった「羅針盤」になぞらえたタイトルがあてられ、
これは現代シーンと交互に偶数章で登場します。
容れ物はなんだかすごくご立派で、
青春ドラマに犯人探しのミステリーをからめる、
という一粒で二度おいしいのを狙う頑張り度もなかなかなのですが、
肝心の中身、
特に犯人に至る証拠、アリバイ崩しなどはかなりお寒いです。
劇団名の「羅針盤」は、4人の高校生の名前に東西南北がふくまれているから。
江嶋蘭 → 東
来栖かなめ → 西
楠田瑠美 → 南
北畠梨里子 → 北
・・・ということです。
映画の方は、タイプの違う4人の美少女がそれぞれに魅力的で
ビジュアルで楽しめる作品になっています。
「武士道シックスティーン」「山形スクリーム」「書道ガールズ」と
成海璃子は既に、学園ものの定番女優となってますが、
忽那汐里と同学年で3月まで現役高校生だったんですね。
ピアノや剣道、書道・・・今までも吹替えほとんどなしで頑張ってましたが
今回は本業の「演劇部」で余裕の璃子ちゃんでした。
4人の中で印象に残ったのは草刈正雄の二女草刈麻有の不思議な魅力。
透明感あって、モデル然してないし、これから楽しみです。
・・・なんて、キャストのことでも書かなきゃいけないくらい、
映画はどうってことなかったです。
一番疑問だったのが、「広島県福山市」のいいとこがちょっとも出てこなかったこと。
地域とのタイアップ映画はけっこうありますが、
「書道ガールズ」の四国中央市とか、「RAILWAYS」の出雲市とか
「津軽百年食堂」の弘前市に関しては、
私もすぐにも行きたくなるような、地方色豊かな映画でした。
福山市主催の文学賞を選ぶ段階で、福山の魅力が表現されてるものを選びそうだし、
書き手もそれを意識しているはずなのに、あまりそれは感じられなかったし、
それならせめて映像化するときに、いろいろ挿入してもよさげですが、
一番印象にのこったのがホラー映画の撮影現場の廃墟ですからね。
ロケ地マップには、地元の美術館やホールや高校や商店街など
ロケの行われたスポットが写真入りで載ってましたが、
それって、地元の人は嬉しいかもしれないけど、
とくにわざわざ行ってみようって気には全然なりません。
福山といえば、「崖の上のポニョ」のモデルとなった
鞘の浦のあるとことですよね?
それに文学賞のに冠のある「ばら祭り」だってちょうど今開催しているのだから、
せっかくならPRすればいいのにねっ!
なんておせっかいな事を考えてしまうのも
作品自体がイマイチだったからんでしょうが。