映画 「亀は意外と速く泳ぐ」  平成17年7月2日公開 ★★★★★



読んで♪観て♪



夫が海外赴任中の片倉スズメ(上野樹里)は、ペットの亀と単調な日々を送っている。

幼なじみのクジャク(蒼井優)は、大胆でスケールの大きい女なのに…。

自分の平凡さを嘆いていたある日、スズメはスパイ募集の張り紙を見つける。

思わず連絡してしまったスズメを待ちかまえていたのは、

ある国のスパイだという夫婦シズオ(岩松了)とエツコ(ふせえり)だった。

むりやり活動資金500万円を渡されたスズメは

“目立たないように平凡でいること”を強要される。(GOO映画)


「インスタント沼」「転々」「ダメジン」・・・・

三木聡作品は好きだからほとんど全部観てきたのですが、

なぜかこれだけ最後まで残っていました。


三木作品おなじみのメンバー総出演におきまりの小ネタ満載。

これ、長編では初期の作品なのに、岩松・ふせの夫婦役は

もう完璧テッパンの安心感です。


かなりゆるいドラマではあるんですが、

それぞれの「キャラクターにちゃんと着地点を作って

やりっぱなしがあんまりないんですね。

で、おかしいんだけどちょこちょこ感動もある。


スパイは一般市民に交じって、絶対に目立ってはいけない。

「平凡ってなに?」と考えさせられる映画でもありました。

スーパーで何を買いものすれば目立たないのか、

レストランで何を注文するのが印象に残らないのか、

いつも考えながら生きていたら、

何気ない日常もちょっと意識がかわるかも・・・

商店街のおやじたちが実はスパイだったり

公安の協力者・・なんて想像するのも楽しい。


「そこそこのラーメン」を何十年も作ってるラーメン屋は

ホントは激ウマのラーメン作れるのかもしれないです。


上野樹里はいかにもはまり役ですが、

森ガール 蒼井優や

二枚目 要潤の目を疑う芝居も見られるので

ファンの方は要注意です。

主役級はむしろゲスト扱いで、それに岩松・ふせをはじめ、

温水、森下、村松、緋田といったおなじみアンサンブルが

手を替え品を替えからんでくるので、

コアなファンには特にたまらないです。



脱力系ムービーなのに完成度高い

って矛盾しているようですが、

これすごいことですね。


私は映画館では見損なったんですが、

テアトル新宿でコアなファンの中で

大盛り上がりで観るのもいいけど、

DVDで小ネタをひとつひとつ確認しながら

何回もみるのもいいかも。

「ダメジン」と同じく、監督の解説付きやメイキングとかで

私も一枚のDVD,合計10時間くらい観てしまいました。



レンタルショップでいっつも貸出中だったのも納得です。


ゆるゆるの肩の凝らないコメディで

「ここで笑ってください」的なことはないから

「笑いポイント」は人によってさまざまなんでしょうが、

けっこう観終わって世界観変わるような力もあって、

なんなんだろう・・・・


私は「傑作」だと思います。