映画 「相棒-劇場版II- 警視庁占拠!特命係の一番長い夜」 平成22年12月23日公開 ★★★★☆
人質は、田丸警視総監、長谷川副総監ら幹部12人。
警視庁本部内で、元刑事、八重樫哲也による篭城事件が発生。
動機は不明で要求もない。
SIT突入により事件は解決したが、八重樫が何を思って決起したかは解明されず、
右京と尊は真相を求めて動き出す。 (ぴあ)
今年になって★5つ連発です。
相棒劇場版も前作はちょっとがっかりだったので、
期待しないで行った分、満足度↑でした。
とはいえ、話はかなり荒唐無稽です。
テレビの人気シリーズの劇場版、ということは
お金を払ってもらっている分、「ひと工夫」しなきゃいけないわけで、
前作は無駄にお金をかけてロケを増やしてコケましたが、
今回は「巨悪」のレベルをグンと上げて、ブラック度↑です。
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ここから先は、これから観るつもりの方は読まないほうが良いと思いますが、
いかにも怪しい奴はやっぱり悪くて、
隠し事をしてそうな人にはやっぱり秘密があって、
「結局観たまんまじゃん!」という意外とひねりのない展開なのです。
ただ、それぞれの登場人物のキャラが最大限にいかされていて、
テレビドラマのファンには絶対に受けることまちがいないです。
お馴染みのメンバーも残らず出てきますから。
それにしても、天下の公安が組織ぐるみで「マッチポンプ」をやったり
ノンキャリアの幹部が虐げられている、なんて
迂闊な人は信じちゃうかもしれないから
これ、ちょっとやりすぎなんじゃないの?とも思いますが、
こういうありえないドラマが堂々と劇場公開されるということは
「抗議するのもあんまりにも馬鹿馬鹿しいからだ」ということを
警視庁になりかわって(?)申し上げておきます。
実在しない役職(通信部長とか)や組織名が散らばってたのも
「これは嘘だよ~ん!」というメッセージと受け取りました。
なのになんで星を4つもつけたかというと、
あと付けでなく、ホントに心にグサっとくる台詞がいくつもあったから。
「正義の定義は立ち位置でかわってくる」
「まさか、絶対的正義なんてこの世にあるとおもってる?」
これはこの映画を貫くテーマで、
岸辺一徳演じる小野田官房長のことばです。
「二人の男に守られ、わたしはここにいる」
実はわたしはこの言葉に一番ウルっとしてしまいました。
最初小西真奈美が警官役で出てきた時は
「猿ロック」を思い出して愕然としたのですが、
不幸を絵にかいたような彼女の人生が
実は彼女を愛する男たちのとっさの行動で守られていたこと。
もうここだけで、ドラマとして成立してると思います。
映画館の作品案内ではこれ、
「サスペンス」となっていましたが、
「サスペンス映画」「ミステリー映画」の好きな人には
説明が親切すぎてちょっとイラっとするかもしれません。
逆に、伏線部分を見逃してしまっても
あとからていねいに解説してくれるので
疑問がほとんど残らないので、すっきりと帰れます。
だから、もう一度観ようとは思わないな。
1時間半を過ぎたくらいでほぼ全貌が明らかになってからも
楽譜でいったら「コーダ」みたいな部分が延々と続いてグッタリ・・
と思った頃に、「衝撃的な事件」が突如起こってビックリ。
この結果は当然のことながらテレビドラマにも反映するのでしょうから、
「彼」の登場をいつも心待ちにしていた私にとっては
かなりショッキングでした。
テレビやDVDで「相棒」を一度でも観たことある人なら
きっと楽しめると思います。
(こんなのばかりがヒットする現実もどうかと思いながらも)
でもやっぱり面白いので、オススメはできる作品です。