映画「nude」  平成22年9月18日公開  ★★★☆☆

原作本 「nude」 みひろ  講談社



読んで♪観て♪


新潟の高校を卒業し、女優になる夢を抱きながら、

上京して働くようになったひろみ(渡辺奈緒子)。

ある日、スカウトされたひろみは、夢への第一歩と考え、ヌードモデルになることを決める。

以来、だんだんと演技の仕事も増え、女優になりたいと

以前よりも強く思うようになるひろみだったが……。     (シネマトゥデイ)


この映画のことを聞いた時

「殿方向けと思わせて、実は女性映画なんじゃないの?」

と勝手に想像していたのですが、

館内はほとんどが男性。

団鬼六の「花と蛇」の予告編が流れたときには

げっ

と思ったのですが、

不安はここまで。


女性の観客も充分想定した真面目な作品。

AV業界という、普段は足を踏み入れない特殊な世界に

「社会科見学」にきている感じです。


「みひろ」という実在の元人気AV女優の書いた自伝の映画化です。

(↑の画像の左側が本人)

興味本位の「潜入もの」ではないから、

業界の人はみんないい人ばかり。

それは自分の所属する事務所に

多少なりとも遠慮があるのか、

それとも100%事実なのかはわかりませんが・・・

セックスに関するブブンも仕事とわりきっているから

現場はぜんぜんいやらしい感じがないのにびっくりしました。


スカウトしたマネージャーの榎本(光石研)は

常に彼女の気持ち第一に考えてくれるし、

直前まで筋トレしてたりしてる

相手役の男優たちもみんな優しくて

(女性を含む)スタッフたちも礼儀正しく

それぞれが段取りよく仕事をこなす

チームプレイのものづくりプロジェクト。


こういう仕事に一番反対するだろう両親が

全く出てこないのはちょっと不自然でしたが、

故郷新潟の親友さやか(佐津川愛美)がたしなめ怒り

だれより心配してくれます。

高校時代からつきあっていた恋人えいちゃんも、

もちろん反対するのだけれど

「反対するだけじゃ気持ちは変わらないだろうから

知らないふりをしてもっといっぱい尽くせば

きっと自分から辞めてくれると信じて

それを待っている」

というのです。


なんて優しいんでしょ!

「AVで稼いだお金をせびり、暴力をふるう恋人」

とか

「仕事とひきかえに関係をせまるプロダクション社長」

とか

私は心が卑しいので、すぐ思い浮かべてしまうのですが

そんな悪い人、ぜ~んぜん登場しません。


結局みひろは自分の判断で

「AVの向こうにある女優という夢」を捨て切れずに

故郷を捨て、親友を捨て、恋人を捨て、

とてもたくさんのAVのお仕事を続けるわけです。

その「お仕事」についてはよくわかりませんが、

少し前に「SRサイタマノラッパー」(AVではないですよ)に

出演してたから、夢はかなったと言えるんでしょうね。


ただ、私見としては(彼女は結果的に夢をかなえたけど)

「AVの向こうには絶対に女優の仕事はない」と思いますがね。

私でもしっているようなアイドルやタレントのなかに

「グラビア出身」は多くても「AV出身」はそんなにいないです。


でも、彼女がこの道を選んだのは、明らかに自分の意思で、

「騙されたり、うまく言いくるめられたわけではない」

「食い物にもされていない」

というのが彼女の主張。


友達や恋人の反対に応えて、

いくらでも辞めるチャンスはあったはずだし、

そうしなかったのは女優になりたい強い意思以上に、

「みんなに注目されたい」という気持ちが

人一倍強い女性なんだと思いますよ。


カメラマンにおだてられていい表情が生まれたり

つい気持ちよく脱いじゃったりするのは

普通の女性でもそうなのかな?と思いますが、

親友や恋人に大反対されても、

不特定多数の人に自分の姿を見てもらいたい

と、ここまで突っ走れるのはやっぱり常人ではないと・・・・


で、その「みひろ」本人ですが、この映画のなかでも先輩AV女優として

「みひろの名付け親になる」という美味しい役で

登場しています。

ファンだったら、見逃せないシーンです。


赤裸々な告白というには、

それほどショッキングな事は起こらないですが、

現実はこんなものかも。


女性にもオススメできる、まっとうな作品でした。


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