映画 「借りぐらしのアリエッティ」 平成22年7月17日公開 ★★★☆☆
原作本 「床下の小人たち」 メアリー・ノートン 岩波書店

読んで♪観て♪

古い家の台所の下に住み、暮らしに必要なものはすべて床の上の人間から借りてくる
借りぐらしの小人たち。
そんな小人一家の14歳、アリエッティは、好奇心と伸びやかな感性を持つ少女。
だが、人間に見られないよう、目立たないよう、
つつましさと用心深さを求められる毎日を送っていた。 (シネマトゥデイ)

人間の家に住む「小さき人の話」は児童文学では王道なので、
原作からは設定だけ頂戴して、ジブリらしいメッセージを詰めるのじゃないか
・・・と思っていたら、
なんと「まんま」でした。
原作は何十年も前に読んだきりで細かいところまで覚えていないのですが
読書好きな小学生なら(今は違うかな?)必読書なので、
そういう子にはちょっと物足りなかったかもね。

ジブリは世界に発信するようになって、なんだかどんどん難しくなって
森林破壊や先住民差別への警鐘は「アバター」をはるかにしのぐ
メッセージ性の強いものでしたし、
「崖の上のポニョ」に至っては、見かけは子供向けでも
背景には壮大な神話や英雄叙事詩が見え隠れして、
ブログ書くのも苦労しました。

その反動か、今回はやたらシンプル。
背景に何にも見えないんですよねぇ~
原作を知らなくてもほぼ予想できる展開で、
ホントにベタな「小人もの」です。

で、今回も賛否いろいろ出るであろう、
全編タレントによる吹替え。
思うまま言わせて頂くと、
三浦友和がちょっと残念(彼は糸井重里や所ジョージの役回りだったのかな?)
だった以外はそんなに悪くないと思いますが、
予想以上に翔役の神木隆之介がハマっていました。
彼は私の好きな俳優さんなのですが、
「アーサーとミニモイの不思議な国」も
「千と千尋・・」も「サマーウォーズ」も
声優としては、なんかがイマイチだったような・・
テンション上がらない病弱な役だったのがよかったのかもね。

スピラーは確か「床下の小人たち」には出てこなくて
続編で登場するキャラじゃなかったかな?
むしろ、いぬいとみこの「木かげの家の小人たち」にでてくる
天邪鬼(アマネジャキでしたっけ?)に似てませんか?
なんかちょっと鬼っぽかったし、家から連れ出してくれるんだよね。

この本も何十年も前に読んだきりですが、
舞台は第二次大戦中の日本ですが、
敵国イギリスの教師から託された小人ということで、
戦争批判も子ども心に感じられて、
こっちのほうがよりメッセージ性が強いように思います。

原作に関しては記憶があいまいなのですが、
とにかく今度のジブリはわかりやすけど、
こじんまりとまとまって、ちょっと物足りなかったかな?
というのが率直な感想です。

ただ、小さな子どもたちには
「小さな命を尊重する気持ち」
「物に恵まれた今の生活に感謝する気持ち」

必ず伝わると思うので、親子で見るのはとってもオススメです。

私も角砂糖やティッシュをもっと大事に感謝して使わなきゃ
って思いましたもの。