映画 「ゴールデン・スランバー」 平成22年1月30日公開予定  ★★★★★
原作本 「ゴールデンスランバー」 伊坂幸太郎 新潮社 
 ★★★★★

読んで♪観て♪

凱旋(がいせん)パレード中に首相が暗殺された仙台、
宅配ドライバーの青柳(堺雅人)は、久々に再会した旧友の謎の言葉を聞いた直後、
警官から突然銃を向けられる。
訳もわからず逃げ出した彼は、身に覚えのない証拠と見えない力によって
無実の首相暗殺犯に仕立てられていく。
絶体絶命の中、青柳は大学時代の仲間たちに助けられながら逃亡を続けるが……。
                            (シネマトゥデイ)

全く身に覚えのないのに
「首相暗殺」なんていう重大事件の犯人に仕立て上げられ、
堺雅人が仙台の街を走る、走る、走る・・・・
日本の警察のくせに平気でバンバン撃ってくるし、
テレビはどのチャンネルでも指名手配の自分の写真が映っているし・・・
ピンチ!!!
これって完ぺき「冤罪もの」なんだけど、怒りを前面に出したり、
影の黒幕をじわじわあぶりだしたりする、
ガチなクライムサスペンスじゃないんですね。
こんな題材だというのに、
肩の力を抜いて、くすっと笑える洒落た映画になっています。

自分に残された道は「人を信じること」

「人間の最大の武器は習慣と信頼」


甘っちょろいとお思いでしょうが、
世の中捨てたもんじゃない。
彼を信用してくれる人たちの力を借りて、
さらに逃亡劇をつづける青柳なのです。

「結局一番利口なのは、逃げることだ」
「死んだら負けだ、逃げた事にはならない」
「雅春!、ちゃっちゃと逃げろ!」


あはは・・・誰も「自首しろ」なんていわないんです。
今の日本で警察が信用できなくなったらかなりキツイと思うのですが、
まあ、それもアリかなぁ・・・

「エンジンかかっただけで人って泣くのかよ」
(インタビューされる父の映像をみて)
「え?なんでそこで敬語?」
・・・なんて、逃亡でいっぱいいっぱいのハズなのに、
なぜか細かい突っ込み入れる青柳の余裕には脱帽です。


原作の冒頭の蕎麦屋のシーンも好きでしたが、
映画では、デパートのエレベーターのシーンから始まります。
そうか~ 
これがラストにつながるのですが、
ホントに観客を楽しませる術を知っていますね。
悪いけれど、「ラッシュ・ライフ」とは大違いです。

勧善懲悪のラストでなければ絶対「NO!」の人以外だったら
きっと楽しめると思います。
原作を読んでいると、その違いも楽しめるけど、
そんなに込み入った作りにはしていないので、
読んでなくても全然OKだと思います。

いらないキャストなんて一人もいなくて、
みんなみんなキャラが立っているのもすばらしい。

私が冤罪の被害者になったら、
まわりはどう反応するかな?
って、ちょっと気になりました。

賞を獲ったりするのかは分からないけれど、
エンターテイメントとしては満点の作品だと思います。
オススメです。