映画 「風が強く吹いている」 平成21年10月31日公開予定 ★★★★★
原作本 「風が強く吹いている」 三浦しをん作 新潮社
 ★★★★★ 
→ 風が強く吹いている②
$読んで♪観て♪

箱根駅伝に挑む大学生たちの青春を描いた、
直木賞作家・三浦しをんによる同名小説の映画化。
主演に小出恵介、林遣都。
箱根駅伝へ出場することを夢見る寛政大学4年生のハイジ(小出恵介)は、
事件を起こして陸上から遠ざかっていた天才ランナーの新入生カケル(林遣都)と出会う。
致命的な怪我からランナーになることを諦めかけていたハイジだったが、
自らが寮長を務める寮にカケルを強引に入居させ、
密かに駅伝出場への計画を立て始める。    (映画com) 
 

こういう映画が見たかったの~!!
という邦画にようやく出会えました。

南極料理人 ・・ 女の子ものがたり ・・
火天の城 ・・ プール ・・・
と、最近観た邦画は、ずっとワタシ的には「はずれ」が続いていました。
(しかも世間的にはそこそこの評価というのが悔しい)

箱根駅伝って、もうそれだけでドラマ以上の群像劇。
なので、
それを俳優たちが「演じる」ことにちょっと心配もあったのですが、
それは、カケル(林遣都)の最初のシーン、
見事な軽快なランニングフォームで杞憂に終わりました。

細く引き締まった筋肉美も完璧で、
ごまかしのない、ばねのある美しいフォーム、
かもしかみたいな躍動感!
「奈緒子」も高校駅伝の映画で、
その時も三浦春馬の走りにほれぼれしたのだけれど、
林遣都はその比じゃないです。
高飛び込みも、野球も、ランニングも・・・
この身体能力は何なんでしょうね~

大学のぼろアパートに住む10人の大学生、
素人の寄せ集め軍団が箱根駅伝を目指すという、
ちょっと無謀ともいえるお話なんだけど、
ストーリーもものすごく面白い。
細かい笑いもたくさんあります。
それを映像化しても、全然嘘っぽくないのは
しっかりした走りにあり、なんでしょうね!

駅伝がマラソンやほかの長距離走、短距離リレーと違うのは、
まさに仲間と心を寄せ合ってゴールまでたすきをつなぐ、
真のチーム戦だということ。
自分が走り終わっても「自分のレース」はまだ終わっていない。
ゴールするまで、まる2日間、心をひとつにする競技なんて、
「箱根駅伝」くらいですよね。

全国から集まった精鋭のなかからトップ10を選抜して
たすきをつなぐ、というのが、
どう考えたって一番「速い」に決まっているのだけれど、
たった10人しかいない、「同じ釜の飯」の仲間たちと
ゴールをめざすのは、「速さ」以上の価値があると思いました。

天才ランナーのカケルとリーダーのハイジが主演なのだけれど、
ほかの8人も結構キョーレツなキャラです。
双子のジョータ・ジョージ、ヘビースモーカーのニコチャン、
漫画オタクの王子、雑学王のキング、
田舎育ちの神童、留学生のムサ、クールな知性派ユキ・・・

みんながみんな主役で、見せどころを作っているのもいいな。

それぞれのエピソードは、ぜひ劇場でみてほしいのですが、
神童と両親のエピソードでは、個人的に号泣でした。
でも、あざとく感傷的な音楽なんか流さないところがまた、よかったです。

長距離選手への一番のほめことばは、「速い」ではなく、
「強い」だ・・・
それはメンタルの強さ、仲間との絆との強さもすべて含んでいるんでしょうね。

24時間テレビとかで「絆(きずな)」なんていわれても
とっても胡散臭かったのですが、
この10人の連帯感、信頼感をみていると、
仲間との結びつきがこんなに人間を高揚させてくれるのかと
感動してしまいます。

「走るってどういうこと?」
答えがでないまま、それを考えながら
走り続ける・・・・

青春でそういうこと。

ちょっぴりアナクロな「青春映画」ともいえますが、
熱くなりながらも爽やかな風がふきぬけるような、
そんな作品です。

会う人ごとにお勧めしたい・・・
私も前売りを買うつもりです。
ただ、プレゼントは「ミニ扇風機」より、
ニコチャン先輩の「呪いの必勝針金人形」がよかったな・・・

あ、最後でちょっとネタバレしてしまいました。

原作は三浦しをんさんの直木賞受賞第一作。(3年くらい前?)
これ買ってすぐ読んで、もちろん面白かったのだけど、
映画は作品をむしろ越えたように思います。
家のどこかにまだあるはずなので、また読んでみます。