映画 「サンシャイン・クリーニング」 平成21年7月11日公開予定 ★★★★★

読んで♪観て♪

シングルマザーのローズ(エイミー・アダムス)は、
ハウスキーパーの仕事をしながらオスカー(ジェイソン・スペヴァック)を育てている。
彼女の妹(エミリー・ブラント)はいまだにアルバイト生活をしながらの実家暮らし。
ある日、息子が小学校を退学になったのをきっかけに、
姉妹は事件現場のクリーニングというヤバそうな仕事を始める。  (シネマトゥデイ)

息子のオスカーは「問題行動」で学校を追われ、
妹のノラは学歴なしで仕事もクビ、
父のジョーのベンチャービジネス(?)も失敗続き。
で、当人のローズは、というと、
ハイスクール時代は花形のチアリーダーで皆の憧れだったのに、
その時の彼には捨てられ、彼は友人と結婚。
しかもその彼とはいまだ不倫関係で、
ハウスキーパーをしながらひとり息子を育てています。
「わたしは強い」
「わたしはパワフル」
自分に暗示をかけるように、つぶやきつづけるローズですが、
なかなか「ジリ貧ドロ沼」状態からぬけ出せずに悶々とする日々。

そんななか、ただただ「お金のため」に始めた、事故現場のクリーニング、
という仕事がまさかの軌道にのり、成功に近づくのですが・・・


殺人現場や自殺や孤独死の部屋の掃除というのは、
誰もがやりたくないけれど、その分お金が稼げ、
実際やってみると、
「大切な人を失って悲しむ人の力になれる」という意味では
納棺師にも似ていて、彼女たちも次第にプライドをもって
仕事ができるようになったあたり、
まさに「おくりびと」のようでした。

でも、そこは名作「リトル・ミス・サンシャイン」のスタッフの作品ですから、
やはりメインは濃密な家族関係になります。

この家族、はた目から見たら、運からもみはなされた人生の敗北者なんだけど、
それでも家族の絆は固いんです。

オスカーの件で学校によびだされ、
「学校生活に適応できないから薬物治療をするように」
なんて言われても、
「この子は想像力が豊かなだけ」
「授業が退屈で外ばかりみてるのは頭がいい証拠」
なんて、オスカーを100%信頼しているんですね。

不器用な負け犬揃いでも、信頼し合って、愛にあふれている家族は
本当に強いです。(このあたり、リトルミス・・とおんなじ)
彼女たちが幼いころ、母親に関する暗い記憶があるのだけれど、
それすら乗り越えてきているので、
事故現場の「顧客」たちにも心から親身になってあげられるのでしょうね。


ところが、仕事の方はそのまま大成功、とはいかず、
ローズがどうしても出たかったハイスクールのクラスメートの家での
「ベビーシャワー」
ここで「サンシャイン・クリーニング」の仕事を紹介して、
みんなを見かえしたかったのですが、
その最中に不幸な事故が起きて、それどころではなくなってしまいます。

結局、商売やお金のことでは、明るい兆しはまだまだで、
(むしろまたまた失敗の予感がします)
けっしてハッピーエンドではないのですが、
「よし、また頑張ろう」と前向きになれるラストです。

ローズやオスカーを理解して受け入れてくれそうな
ウィンストンなんていうやさしい男性もさりげなく登場させて
これからどうなるのかな・・・とちょっと期待してしまいます。

リトルミス・・・ほど、大笑いしたり、号泣してしまうようなブブンは
少なかったですが、
誰もが胸の奥にもっている「開かずの扉」をそっと開けて
忘れかけていた小さな喜びや悔しさを思い出させて
心から共感できる、そんな作品でした。

亡き母の出演ドラマで
たった一箇所の「セリフのあるシーン」や
車の無線で天国の母に話をするところ。
よかったです。

「デザートは何を?」
「ペカンパイがおススメです」

本篇とはなんの関係もない、こんなセリフ。
でも、また今、思い出し泣きをしてしまいました。

全ての人が「大満足」するかどうかは分からないですが、
私は大好き!!ホントに大好きな映画です!