映画「GOEMON」平成21年5月1日公開予定 ★★★★☆
ノベライズ本 「GOEMON」紀里谷和明  幻冬舎 ★★☆☆☆ → GOEMON②

読んで♪観て♪

織田信長(中村橋之助)を暗殺した明智光秀が討伐され、
豊臣秀吉(奥田瑛二)が天下を取った時代。
超人的な身体能力を武器に金持ちから金品を盗み、
貧しき者に分け与える盗賊・石川五右衛門(江口洋介)が
すい星のごとく現れ、庶民を熱狂させる。
そんな中、五右衛門は盗み出した財宝の中に
重大な秘密が隠されている南蛮製の箱を見つけるが……。
              (シネマトゥデイ)

安土桃山時代、と言われた時代。
信長に代わって秀吉が天下を取り、
秀吉亡きあとは、関ヶ原を征した家康により
戦国時代は終わりを告げる・・・
という、小学生レベルの歴史の流れだけはしっかり踏襲。
でも、中学レベル以上の歴史のわかる人にとっては
「なんじゃこら?」ものの、ぶっとびストーリー。
実在の人物、架空の人物いりまじった
度肝を抜かれるような戦乱絵巻です。

ただ映像は素晴らしい!
こういうタイプの映画を観るのははじめてですが、
実写の部分を人工的に加工して、CGの部分との見分けが
つきにくいから、画面の切り替えもスムーズ。
本来10秒かかるところを、2,3秒でサクサク進む感じです。
ストレスがほとんどゼロ。
モノクロ画面に火と血の赤が強調される場面は
特別にきれいでした。

石川五右衛門で知っていることといえば、
三条河原で釜ゆでの刑になったこと、
「絶景かな絶景かな・・・」のセリフ。
「浜の真砂は尽きるとも・・・」の辞世の句くらいしか
知りませんが、そのあたりはおさえて、
生い立ちや、信長秀吉との関係などは、自由な発想で
好き勝手にストーリーは進みます。
ファンタジーと思ってみれば、さほど気にはならないのですが、
天下を取りたい理由とか、戦乱をおわりにしたいとか・・・
考え方がまったく「現代風」なのが奇妙で、
タイムスリップもののように思ってしまいました。


この映画では、秀吉と光成が悪役、
信長・家康が善玉、とわかりやすい設定になっています。
でも、家康が天下をとって、以後徳川の時代が長く続いたのは、
「平和な世の中を願っていたから」ではなく
ライバル大名をつぶして、
「圧倒的な力」を持っていたからにほかなりません。


キャスティングも、これ以上ない大物俳優をぜいたくに配して、
豪華ラインナップ!
メイクも衣装も、戦国フィギュアを再現したような出来で、
スタイリッシュな婆娑羅、という感じ。
秀吉の衣装なんて、マクベスの舞台劇を見ているよう・・・
奥田瑛二の怪演にも圧倒されました。
竹中直人、西田敏行をしのぐ、
タフで老獪な新しい秀吉像を見た感じです。
信長は最後の最後まで、高橋幸治だと思ってました。
でも彼はもう70歳を超えているはずなので、
「だれ?」と思っていました。
中村橋之介だったんですね!後で知りました。

私はゲームは全くやったことがないし、
歴史にも詳しくないのですが、
思った以上に楽しめました。
ゲーム好きの人、
「歴女」の皆さんには自信を持って
オススメできると思いますが、
時代劇ファンの年配の人たちはどうかな?
現代的な価値観で話が進むので、ちょっと違和感はあると思います。

ところで、これだけのキャストに、3年もかけた撮影で、
もしヒットしなかったらどうするんだろう??
新作のゲームやフィギュアで、採算とれるようにしてるのかな?
メイキングを観てみたいな・・・などと本篇以外のことも
気になりつつみていました。

映像を楽しむものなので、ノベライズは今回は読まずにおこうと思います。