映画「奇跡のシンフォニー」 平成20年6月21日公開予定 ★★☆☆☆

原作 なし




11年間、両親の顔を知らないまま過ごしてきた少年エヴァン。

彼には天賦の音楽の才能がありました。

実は彼の父親(ルイス)はバンドで歌っていた元ミュージシャン、

母親(ライラ)は高名なチェリスト。

施設を飛び出した彼が、偶然につぐ偶然で

両親に再会するまでのストーリーです。


↑は、冒頭の何分かで誰もがわかることです。

あとは、二時間のうちに、どんな手をつかって

三人を同じ場所に導いていくか、です。

アメリカ国内ではありますが、ニューヨーク、シカゴ、

サンフランシスコと、三都市を移動するので、

よくもまあ、会えたもんだと思いますが、

ストーリーに関しては、全編かなり無理矢理なので、

今後つっこむことはひかえます。


冒頭でエヴァンが自然の草木や風の音に

うっとりと耳を澄ませるシーン。霧

とても良かった。

ファンタジアの実写版の様な感じでした。


画面がかわって、(二人が知り合う前)

ルイスがライブでその歌を絶賛され、

ライラがチェロの演奏でスタンディングオベーション。

でも私にはどう考えてもそこまでの演奏には思えず、

急にテンションが下がってしまいました。

おまけに、バンドの音とオーケストラの音を

かぶらせて聞かせるのはいかがなものでしょう??

納豆の上に甘納豆をふりかけて

かきまわしたような・・・(たとえが悪いかな?)

私は正直、ちょっと吐きそうな感じでしたショック!

音楽の受け取り方は人それぞれなので、

「すばらしい」と思う人もいるでしょうが。

いろんなジャンルの音を詰め込んでしまうのは

私には美しくは感じられませんでした。



旅の途中で出会う、

ストリートのギター弾きの少年、

ゴスペルの少女

彼らの演奏は、心に届きました。

鳥肌ものでした。

ところが、エヴァン少年は

「神童」ですから、

それを遙かに超える演奏をしなければいけない。

フレディ・ハイモア君は

音楽の神童ではありませんが、

表現者としては「天才」なので、

なんとそれをあっさりとこなしてしまいます。

当然のことながら演奏技術はないはずですが、

音楽にノッてきて、心が解放されたときの

笑顔なんて、本当の本物です!


それにひきかえ、

両親はもうちょっと頑張って欲しかった。

ミッションⅢの美男美女コンビで、

ビジュアルは申し分ないのですが。

チェロの演奏なんて、音を聞かせるというより、

画面を小刻みにきりかえて、

かっこよく弾いてるように見せかけるのに精一杯。

先週、「おくりびと」のなかで

チェロをかなり弾きこなしていたモックンを

みてしまったので、なおさらそう思いました。


今日観たのは「女性限定試写会」だったので、

まわりはけっこう泣いていました。

一応私も女性なんですが、

ついていけませんでしたしょぼん

男性にはちょっとキツイ映画かもしれません。

「奇跡のシンフォニー」なんて、題名からして

ちょっとね。

原題の「オーガスト・ラッシュ」の方がはるかにいいと思いますが。


台本のお粗末さを棚に上げて、

天才子役のフレディ・ハイモアに「無茶ぶり」をして、

でも彼は天才だから、かなりのレヴェルでそれに答えている

・・・・私にはそんな印象でした。


フレディに★ひとつ、

ちびっこ演奏家たちに★ひとつ、です。