補足記事 その3(もはや隠し切れない雇用環境の悪化と実感の無き景気回復の関係) | インターネット非正規雇用労働者組合

補足記事 その3(もはや隠し切れない雇用環境の悪化と実感の無き景気回復の関係)

史上空前の利益を上げる企業、雇用環境の悪化と実感なき景気回復の関係を探る。」

の記事、後半部分で総務省統計局、労働力調査と

財務省、法人企業統計による企業の損益の関係を照らし合わせて

雇用の質の悪化と企業の期間損益の関係を解説させていただきましたが


後から見て非常にややこしくなっていると感じましたので

あらためて前述の両者を合成したグラフを作成いたしました。

補足資料として追加させていただきます。



・全雇用者数と一人当たりの年間平均従業員給与の推移を合成したグラフ。

  1997年以降、全雇用者数は約5000万人で推移しておりますので、一般に言われるバブル後の清算である

  設備、債務、雇用の過剰の整理のうち最後の雇用の過剰とは正規雇用の過剰を現す事だと言う事でしょう。





・正規・非正規雇用者数と一人当たりの年間平均従業員給与の推移を合成したグラフ。

  一人当たりの年間平均従業員給与は正規雇用の増減に連動しているようです。





・正規・非正規雇用者数と一人当たりの年間平均役員給与の推移を合成したグラフ。

 役員給与も従業員給与と同じく1997年以降、右肩下がりに見えますが2004年はなぜか上昇しています





・正規・非正規雇用者数と一人当たりの年間平均役員賞与の推移を合成したグラフ。

 役員賞与は利益の処分として役員に支払われる性格の報酬です。

 企業利益の回復と共に2001年~2005年までに約2.5倍に急上昇しています。

  



・正規・非正規雇用者数と一人当たりの年間平均福利厚生費の推移を合成したグラフ。

 福利厚生費も基本的に1997年以降は右肩下がりですが、部分的に2000~2002年にかけて上昇しています。

 退職金給与引当金の引き当てがなされたのではないかと正規雇用の減少傾向から推測できますが

 詳細は不明です。




・正規・非正規雇用者数と年間株主配当金総額の推移を合成したグラフ。

  株主配当総額は2001年~2005年にかけて約4倍と急激な上昇傾向です。

  

  以前の一人当たりの平均従業員給与を1997年ベースで算出した場合と実際支払われた賃金の

  差額賃金を算出したグラフ と近年現れた新たな非正規雇用の増加傾向の変化のグラフ と合わせて

  参照していただけると非常に興味深いと思います。  





・正規・非正規雇用者数と企業の期間損益の推移を合成したグラフ。

  1986~1991年のバブル景気では正規と非正規が同じ程度の比率を保って増加しているのに対して

  2001~2005年にかけての緩やかな景気回復では正規が減少し、非正規が増加する中で

  企業の利益が増加すると言う雇用の面から見れば全く違った内容であることがわかります。

  

  以前の一人当たりの平均従業員給与を1997年ベースで算出した場合と実際支払われた賃金の

  差額賃金を算出したグラフ と近年現れた新たな非正規雇用の増加傾向の変化のグラフ と合わせて

  参照していただけると非常に興味深いと思います。  




出展

 平成18年度の労働経済白書 (第1節  雇用・失業の動向 P24)の表の数値

 財務省HP法人企業統計 (年次別調査:時系列データ )より検索した各種数値