ハケンの品格(派遣の品格)を語る前にそもそも日本国と派遣制度に品格はあるのか?
他の方のブログで知ったのですが私の知らないうちに
最近ハケンの品格というTVドラマの放映が始まったようです。
はっきりと申し上げましてこんなドラマを放送する
マスメディアの品格及びこんな作品に出演する役者の品格を問うのが先だと思います。
もちろん私は視聴していませんし、見るまでもありません。
このドラマのHP の頭にどでかく載ってる広告を見ればだいたいどんなドラマか想像がつきます。
スポンサーである派遣会社が資金を提供しマスメディアに番組を制作、放映させ
派遣労働者として働く事を賛美し、さもすばらしい事であるかのように視聴者に刷り込んでいく
そんなドラマになるのは見え見えです。
今をさかのぼる事20年あまり前、違法行為である人材供給業が横行する現実にあわせて
違法行為を野放しにして放置するよりも合法にして法整備した方が良い等という、
どうかんがえても建前丸出しの詭弁でしかない
(もちろん理由はそれだけではありませんが、
懲役刑を課されるような法を守れない輩に対しては罰則を強化し厳罰を持ってあたるのが筋です。)
労働者派遣法が1986年に施行されていらい20年余り、
懲役刑を課される程の反社会的で犯罪行為だった人材供給業(派遣) が
ついにお茶の間に堂々とドラマとして登場してしまいました。
昔は深夜しかやってなかったサラ金のCMが最近堂々と流されているのもそうですが
マスメディアの品格もついに、ここまで来たかと気分が悪くなります。
所詮TVドラマだ、或いは商業的に視聴率が取れるから
それなりにお面白いから良いんだよという方もいらっしゃると思います。
刹那的で一時の快楽や目先の利益だけを追い求められれば
どんなことをしても良いのか?その姿勢こそが品格の欠如と言わざるを得ないでしょう。
皆が暮らせる良い世の中とはどんな世の中か?そんな世の中にするためには
自分は日々どんな立ち振る舞いや行動をすれば良いのか?
そうやって日々思考し、社会正義に基づいて生きようと思考をやめない姿こそが品格ある姿です。
もっともらしい言い訳としか取れない適当な理由をつけて思考停止に陥り
こんなドラマを公共の電波で放映するマスメディアも歓迎して視聴する側も
まずは自身の品格について問いただして欲しいと切に心から願います。
はっきり申し上げまして思考停止を決してしない私は合法であっても
現在の派遣法には様々な問題があるので現行の派遣制度は廃止すべきだと思っています。
(廃止というのは規制や罰則を追加して派遣法を改正し派遣制度のあり方を変えるべきという意味も含んでいます。)
ILO(国際労働機関)は日本も支持し加盟しています。
(ILO加盟国 2006年7月15日現在-計179カ国)その根本的な精神であるフィラデルフィア宣言 では
労働は商品ではない
と明確に宣言しILOという組織の設立目的としてその憲章 の第1条で
この憲章の前文及びこの憲章の附属書となっている
1944年5月10日にフィラデルフィアで採択された国際労働機関の目的に関する宣言に
掲げた目標を達成するために、ここに常設機関を設置する。
とILOという組織の設立目的として明文化されています。
ILOの発行する様々な国際条約に関しては一国際機関の条約と国家主権という観点から
批准には現実的な国情に合わせて、賛否両論があろうかと思います。
しかし、フィラデルフィア宣言はILOの根本理念です。
派遣法を立法するのならば労働を商品としない派遣制度を
日本はILO加盟の先進国と言う立場からも
他の加盟国に先んじて整備すべきなのは当たり前です。
もはやハケンの品格どころかこの日本国の品格こそが問われかねない状況です。
1985年の派遣法の立法の目的は不足する専門職の雇用流動性を高め、専門職に高待遇を与えようというものでした。
ところが派遣労働の現場に追いやられた専門職労働者は労働を商品とされ派遣会社のピンハネにさらされながら
低賃金で劣悪な労働環境に追いやられ、最後には専門職の派遣期間は撤廃されてしまいました。
今や派遣解禁業種は一部の例外を除き、原則全業種自由となっています。
派遣解禁業種の派遣期間も延長される傾向にあり、原則派遣解禁業種の派遣期間の撤廃も検討されています。
立法当初の目的や趣旨と違う、場当たり的で理念も哲学も無く、働く側の意見を無視した法改正を行う
社会正義の欠落した日本国政府に品格はあるのでしょうか?
そしてマスメディアはハケンの品格なんていう厚顔無恥なドラマをやる前に
自らの品格を問うマスメディアの品格をドラマとして放送すべきでしょう。