木皿泉の新作 | 監督ブログ

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今まで沢山の連続ドラマを作ってきて、当然上手く行ったり行かなかったりということがある。

しばらく時間がたってからそれぞれの作品を少し客観的な視点で見ると、色々と反省することもあったり、逆にひとり悦に入ってニヤケてしまうこともある。

でも共通して言えるのは、すべての作品に愛着があるということ。


連続ドラマ「すいか」に対する愛はとても深い。

「すいか」とは2003年に放送された、小林聡美主演の連続ドラマ。

視聴率という点では大成功と言えなかったけれど、個人的に初めての試みが沢山あって、とてもとても想い出深い作品なのだ。

放送中から、熱烈な「すいか」支持者の方たちの応援があって、七年たった今もmixiのコミュニティでは頻繁に書き込みがあって嬉しい限りです。

世田谷区三軒茶屋が舞台ということになっているのだけれども、実際の撮影場所は全然違った場所で、「すいか」とは僕が作った架空の三軒茶屋の世界の話だ。
でも熱心な支持者の方達はロケ場所を探し出して、今で言う聖地巡礼のようなこともして楽しんでくれている。

「すいか」を愛してくれた方たちには、本当にありがとうございますと言いたいです。

「すいか」に対する愛が深い理由は色々あるけど、その一番はやっぱり木皿泉さんの書いた脚本が素晴らしかったからだ。

木皿さんの書く本は、見えるものと見えないものの間にある森羅万象を、独特の世界観で描き出しているのだと僕は思う。

それは日常と非日常だったり、虚と実だったり、色と空だったりする、と言ってみる。

僕は、木皿泉の(正確には木皿さんたちの)書く本が大好きだ。

日本で木皿泉ファンと言ったら三本の指に入るであると自負する熱烈な支持者だ。

だからもっと沢山、木皿泉の作品を観たいと、視聴者として観客として思う。

でも残念ながらそのチャンスはあまりに少なかった。

木皿さんはその後、僕は直接関わらなかったけれども「野ブタ。をプロデュース」という作品で視聴率的にも大成功。
そして2007年の「セクシーボイスアンドロボ」では再び一緒に仕事をすることができた。

「セクロボ」に対する僕の愛情も深い。

主演の松山ケンイチとは「ごくせん」で初めて出会い「セクロボ」で再会、そして「カイジ」の佐原へと繋がって行く。


で、今年10月。
木皿泉四作目の連続ドラマがついに放送される。

内容とかキャスティングとかはまだ言えないけど、凄く期待したくなる内容だ。

実は、このドラマに僕は参加しません。
理由は全く同時期に別の連続ドラマを撮っているからです。
そっちのドラマのこともいずれ報告したいと思うのだけれど、木皿泉ファンとしては自分の番組を差し置いて、この10月期最も注目するドラマなわけです。

木皿さんは本をまるで一筆書きのように書く。
本当に身を削るように書く。

今度はどんな見えるものと見えないものとの狭間を描いてくれるのか、今からとても楽しみです。