ラインを越えて「介護まめ家の冒険」 | 介護まめ家の冒険

介護まめ家の冒険

岐阜県羽島市の宅老所デイサービス介護まめ家の架空の日常を綴ります。

新年一発目のお迎えは、市町村のボーダーラインを越えた。

 

 

 

我がデイサービス介護まめ家は、昨年4月より、地域密着型デイサービスのカテゴリーに入った。

 

地域密着型への移行は、利用者の利便性の向上というよりは、お役所の事務業務の効率化のためにも思えるが、それをどうこう言っても仕方がない。

 

地域密着という発想は既に十年以上前から始まっているのだし、介護保険が利用者の利便性よりはむしろ事務や運営の効率化を、今後も目指すことははっきりしているからだ。

 

 

 

 

地域密着になったからと言って、いきなり事業所の所在地である市町村に活動を限るというわけではない。

 

少なくとも、それ以前に利用実績のあった利用者は、それ以後も同様にその事業所の利用は継続できる。

 

新規の利用者を受けることはできないから、近い将来、その事業所の全ての利用者は、その市町村の人になるだろう。

 

 

 

 

去年の4月、小規模デイサービスに地域密着という制度が導入されて、おそらくどの市町村も、どうやって対応したらいいか分からないことがいっぱいあったんじゃないかと思う。

 

近隣の市町村のやり方を横目に見ながら、自分のところの基準をその場で決めていったということも、たくさんあったんじゃないかと思う。

 

お役所的には、去年4月をもって、市町村の境を利用者も事業所も越えることはできない、とハッキリしてくれたら、とても対応がシンプルだっただろうが、現実的には利用者に対してそんな酷いことは出来ないわけで、それ以前に利用実績があった利用者に限り、境を越えることができるということになり、その手続きの解釈は、市町村によって、結構バラツキがあったんじゃないかと思う。

 

 

 

 

市町村の境について、弊害があるという意見や実際の困ったケースの報告は、SNSなどでもいくつか目にした。

 

まめ家においても、去年の4月以降、市町村の境を越えて利用の相談を受けながら、実はケアマネさんも僕らもその制度について無頓着であったが故、相談の途中で、その境界線に気づいたということが、2件あった。

 

でも、実は、境界線を越える手立てが全くないかというと、そうではない。

 

手立てはある。

 

問145

平成 28 年4月から小規模な通所介護事業所が地域密着型サービスに移行 するが、利用者は原則として、事業所がある市町村に限定されるのか。また、 他市町村の利用者については現行のような事務手続きをすることで利用可能 とするのか。

 

回答

① 平成 28 年4月1日以降の新規利用者については、その事業所がある市町村の 被保険者のみがサービス利用の対象となるが、当該市町村の同意を得た上で他 の市町村が当該事業所を指定すれば、他の市町村の被保険者が利用することも 可能である。

② また、平成 28 年4月1日前からの既存の利用者については、それぞれの住所 地である市町村の指定があったものとみなされるため、事業所の所在市町村の 被保険者だけでなく、当該市町村以外の他の市町村の被保険者も引き続き利用 することが可能である。

 

②については、去年の4月の時点で、対応の必要が多くあったため、よく知られた回答であるが、①については、あまり検討されていないように思う。

 

僕も、境界線を越えた相談について、①のことを、ケアマネさんや利用者さんに言ってはみたし、まめ家として手続きが必要なことは、積極的にやりたいとも伝えた。

 

というのは、それが本当のところ、可能なのか知りたかったからだ。

 

絵に描いた餅ではないのかと、相当疑っていたからだ。

 

何故なら、認めるも認めないも、お役所次第だ、ということは、煩わしい事務仕事を引き受けてまで、例外事例に付き合う必要がないと、その次元で判断するなら、実質的にそれは、絵に描いた餅になるだろうからだ。

 

まめ家に頂いた二件の境界線を越えた相談は、実は、市町村の境どころか、県境を越えた話だった。

 

利用者さんがかなり遠くにお住まいだということで、地域密着という制度以前に、かなり無理をした話だったことと、ケアマネさんもそれまでにお付き合いのない遠くの事業所の所属だったこともあって、その二件とも、その後、どのような手続きをしたのか、その経過はどうなったのかは、知ることがなかった。

 

初めの相談の後、その二件とも連絡がなかったので、おそらく、境界線を越える話の進展はなかったのだろう。

 

興味があるのは、その話が少しでも前に進んだとして、どこの時点で頓挫したのか。

 

よく調べてみたら、あまり現実的な話ではないと思ったと、ケアマネさんが判断した。

 

とか、

 

市に打診してみたら、色いい返事がなかったので、ケアマネさんが無理をしなかった、

 

とか、

 

実際に手続きに入ったら、あっさり市に門前払いされた、

 

とか、

 

利用者の市町村からはOKが出たが、まめ家のある市からOKが出なかった、

 

とか。

 

いずれにしろ、積極的にその手続きが行われた例を、僕は、聞いたことがなかったので、もしかしたら、多くの利用者、ケアマネ、介護事業者が、それは無理なことだ、と思い込んでいて、行われないのかもしれない。

 

あるいは、市町村の方で、それは特別例外的な事であり、基本的には取り合うべきことではない、ということになっているのかもしれない。

 

 

 

 

でも実は、市町村の側においては、その対応の温度差は、結構あるのではないかと思う。

 

例えば、「やらなくてもいいことだから、やらない」という判断の市町村と、「申し出があったら、しっかり対応する義務があるらしい」という判断の市町村が、あるんじゃないか。

 

全国で、それが統一されていない、あるいは、今はまだ統一されていない、可能性はあるのではないか。

 

 

 

 

 

近隣のある市町村の社会福祉協議会のケアマネさんと、まめ家はとてもいい関係でお付き合いさせてもらってきた。

 

去年の四月以前からの利用者さんがいて、今も親しくさせてもらっている。

 

そのケアマネさんから、ご自分の受け持ちの方に、是非まめ家を利用してもらいたいと、打診があったのは、去年の秋だ。

 

ケアマネさんは、市町村の境を越えるための手続きに入った。

 

その市町村は、既にまめ家を利用している方がいるので、とあっさり問題なくOKを出してくれた。

 

その方が、まめ家をお試し利用した時、役所の担当者も一緒に見学に来てくれた。

 

それに比べたら、まめ家のある市のOKをもらうのは、ハードルは低いように思えた。

 

実際、市のOKはすぐ出て、この方は、市町村の境を越えて、新規利用者として、今日初めてまめ家に来られた。

 

 

 

 

お役所の言うことは、担当者で変わることがある、とか、担当者は配置換えでころころ変わる、とか、来年には判断が変わっていることがある、とか、不安なことはある。

 

なので、今後はこんなにすんなり事は運ばないかもしれない。

 

また、別の市町村なら、話を聞いてくれる間もなく、門前払いの所だってあるかもしれない。

 

それでも、これでひとつ、例外の成功例が、できた。

 

 

 

制度としての区切りは仕方がないとして、例外を認める道筋はあるべきだし、絵に描いた餅ではない実際的な道筋が、あって欲しい。

 

なにより、僕らが勝手に悪い方に解釈して、その悪い解釈を実際の習慣にしないように気をつけないと。

 

勝手にあきらめるということが、一番弊害があるから。