【書評】TYPOGRAPHY(タイポグラフィ)01 フォントをつくろう!/グラフィック社 | サンロフトの本とテレビの部屋

【書評】TYPOGRAPHY(タイポグラフィ)01 フォントをつくろう!/グラフィック社

【書評】TYPOGRAPHY(タイポグラフィ)01 フォントをつくろう!/グラフィック社


創刊号にふさわしく、最近のタイポグラフィ事情、フォントデザインの基礎、フォント作成ソフトの紹介等、一通りの情報が載っている。私の場合、10年近く遠ざかっていたのでありがたい。大まかには知っているつもりだったが、人もフォント事情もいつの間にか新しくなっていた。
Fontographer、OTEdit 、Fontlab Studioの記事に期待したが、もう少し詳しく知りたかった。また、その他のフォント作成ソフトについても簡単な紹介がある。


付録のモリサワ原図用紙は60mm。その昔のモリサワ賞の応募用紙もこれと同様B5判に6文字分配置されていた。しかし、文字サイズは石井賞と同じ48mm。石井賞は文字本体を描く内側の枠が44mmだったが、モリサワ賞はひとまわり大きい45.何mmという中途半端なサイズ。用紙がB1パネルに配置するための縮小版だったと考えれば、中途半端さもうなずける(違う理由かもしれないが)。


次号は2012年秋でタイトルは「フォント大特集」。掲載する情報も募集している。今年、何度目かのフォントブームがやってきたようである。
ブームの定義は難しいが、1968年の「タイポス」に始まるカナ文字デザインの体系化と、ナール、ゴナ等が出た頃が第1次ブームだろう。
80年代中盤、漢字の扱えるパソコンとパーソナルワープロの普及によって、一般人が明朝体、ゴシック体等の書体を意識するようになって第2次ブーム。80年代末、アウトラインフォントが出始め、92年頃にMacintoshの日本語ATMと漢字TrueTypeが出たあたりで一段落する。
90年代末頃、フォント作成が容易になって同人フォントブーム(第3次ブーム)が起こる。入れ替わるように、石井賞、モリサワ賞がその役割を終えた。
2010年代に入り、Webフォントと超高解像度ディスプレイの登場で、フォントを取り巻く状況が一変した。これが、第4次ブームの発端だと思う。


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