佐藤優「創価学会と平和主義」 | 世界文学登攀行

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世界文学の最高峰を登攀したいという気概でこんなブログのタイトルにしましたが、最近、本当の壁ものぼるようになりました。


「創価学会と平和主義」


読んでからもう10ヶ月くらい経ってしまった。
集団的自衛権を巡る公明党が果たした役割のようなものが読める、と聞いて読んだのだと思う。
実は集団的自衛権についてのページは第一章の30ページほどだったので、ちょっと物足りない感じはあった。


第二章からは、著者から見た創価学会観とでも言うべきものであった。
この本を読んで驚いたのは、創価学会に対する事実誤認が少ないということであった。
というのはカラクリもあって、ほとんどが創価学会ホームページや、創価学会の池田名誉会長の著作からの情報を元に、意見を述べているからであって、基礎資料が同じなのだから、読んでいて安心できるには決まっている。
ただ、逆に言えば、それまでの創価学会評というものが、あまりに独断と偏見に基づくもので、学会内部の人間からすると、一読にも値しない本ばかりであったから、その意味で著者の主張は、少なくとも事実に沿っているため非常に読みがいがあって面白かった部分はある。


プロテスタントのキリスト教徒である著者が、情熱を傾けて仕事をしたというのは感じられた。
もちろん、全部が全部そうだなと思えるわけではなく、違うかなあと思う部分もあった。それは、公明党という政治の立場から創価学会というものを見ようとしている著者とのズレなのかなという気はした。


創価学会も、一団体として、まっとうな評価がされる時代が来たということは、歓迎すべきことであると思った。
ただ、もう、創価学会の外部の人間からのこのような評価に、異様に興奮し飛びつく必要もないなと改めて感じた。
堂々としていればよい。褒められようが、けなされようが、我らは我らである。



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