夜1人でご飯を食べに行こうと思った時に、せっかくだから軽い読み物でも持っていこう。
本書をよみはじめたきっかけはこんな動機だっただろうか。
知らない作者が書いた、知らない作品。
読書メーターで誰かがレビューを書いているのを見て「叙述ミステリー」という単語に反応して、思わず飛びついてしまった。
実は、叙述ミステリーという言葉の正確な意味を知らないし、調べるのもめんどくさくて、いまだにわからないのだが、叙述ミステリーにははずれがない、そんな印象がある。
叙述ミステリーの正確な言葉がわからないから、本書が叙述ミステリーに該当するかどうかよくわからないのだが、多分、該当するような気がする。自信ないけど。
2009年発刊。
やっぱり最近出た本は読みやすい。
それは、単に、時代が下るにつれて技術があがり、文章が洗練されていくからだろうと漠然と思っていたけれど、同じ時代の空気を吸って生きている人間の文章だから、自分にしっくりきて読みやすいんだなと思った。
文章にすると当たり前のことを言ってるにすぎないなとは思うんだけど。
「電気人間」といういわゆる都市伝説が物語の切り口になっていくのだけれども、現代における噂の形成のされ方、伝わり方、などなど、自分も考えたことがあることだったりして、わかるー、これすごいわかるー、と思って、ついつい読み進めてしまう。
現代は通信機器の発達など、めまぐるしいスピードの時代。
5年前の常識が、今は非常識になってしまう、そんな世の中なのだ。
僕の読書の師匠の清水義範氏も、古典を読むのは大事なことだけど、現代の本も読まないと時代に置いていかれてしまうよ、という趣旨のことを書かれているが、確かに、現代の本という感じがした。
この本は、読みやすいということもあり、早いペースで読んだ。
読書中は楽しくて、どんどん読もうと思って読み進めていたが、読後感は不思議な感じ。
現代的で、曲線的で、こういうのもありかな、とも思うし、面白かったには違いないんだけど。
きっと、新しすぎてとまどってしまう作品なのね、と思う。
おじさんだから、感性がついていかないんだわきっと。