文集文庫「斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇」所収
きっかけがあり「走れメロス」を読んだ。
高校生の時に国語の教科書に載っていたと思う。
それ以来、何度かは読んだと思う。
あらすじからディテールまで、メロスが激怒してはじまる冒頭のシーンから少女が真っ赤なマントをメロスに捧げるラストまで、よく覚えている。だから、今回読むときも、まあ、あの話しでしょ?と大して期待もせずに軽い気持ちで読んだ。
移動の最中に電車の中で読んだのだけど、あまりの感動で涙が流れてしまった。
これから人と待ち合わせだというのに、困った。
都合のよい自己正当化、諦め、自暴自棄。
それらをはねのけ、自らの信念に準じたメロスに感動したのかもしれない。
人間は弱い。
が、弱いことを許容しながらも、それでも人間は強く生きるべきだ、という生き様を示したメロスに感動したのかもしれない。
この文庫だと16ページの短い小説なのだが、その中にすごい濃度で感動が詰まっている。
走れメロスを知らない人はいないと思う。
ぜひもう一度手に取ってもらいたい。
読み手とともに本も成長するのだということを実感すると思う。
- 斜陽・人間失格・桜桃・走れメロス 外七篇 (文春文庫)/文藝春秋
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