「走れメロス」太宰治 | 世界文学登攀行

世界文学登攀行

世界文学の最高峰を登攀したいという気概でこんなブログのタイトルにしましたが、最近、本当の壁ものぼるようになりました。



文集文庫「斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇」所収


きっかけがあり「走れメロス」を読んだ。
高校生の時に国語の教科書に載っていたと思う。
それ以来、何度かは読んだと思う。


あらすじからディテールまで、メロスが激怒してはじまる冒頭のシーンから少女が真っ赤なマントをメロスに捧げるラストまで、よく覚えている。だから、今回読むときも、まあ、あの話しでしょ?と大して期待もせずに軽い気持ちで読んだ。
移動の最中に電車の中で読んだのだけど、あまりの感動で涙が流れてしまった。
これから人と待ち合わせだというのに、困った。


都合のよい自己正当化、諦め、自暴自棄。
それらをはねのけ、自らの信念に準じたメロスに感動したのかもしれない。


人間は弱い。
が、弱いことを許容しながらも、それでも人間は強く生きるべきだ、という生き様を示したメロスに感動したのかもしれない。


この文庫だと16ページの短い小説なのだが、その中にすごい濃度で感動が詰まっている。
走れメロスを知らない人はいないと思う。
ぜひもう一度手に取ってもらいたい。
読み手とともに本も成長するのだということを実感すると思う。



斜陽・人間失格・桜桃・走れメロス 外七篇 (文春文庫)/文藝春秋
¥713
Amazon.co.jp