著者の清水氏は僕にとっては文学の師匠とも呼べるような人。
そもそもこの人が書いた「世界文学必勝法」がなければ、世界文学に挑戦しようなんていう気持ちも起こらなかった。
ということで、タイトルはともかく、「清水さんが書いた本」だから手に取った。
言葉そのものをテーマにした小説で、コピーライターの野田を主人公としてストーリーは展開する。
言葉をテーマにしたお勉強本を、長編小説で書いてしまった。そんな本である。
清水さんのフィールドというか、ホームグラウンドの仕事だなと思った。
かといって、内容は浅くなくて、僕が常々言葉、というものに対していた疑問というか、思いのようなものが、なるほどそういうことか、という納得があったりして面白かった。
しかし、この辺は読後感であって、面白い小説としてするする読める。
この人にとっては小説を書くというのが、ルーティンな作業なのだろうかと思うくらい、簡単に小説を書いてしまうんだなと思った。(本当のところはどうか知りませんが)
前半のテーマは、言葉は進化するもの、といえるだろうか。
後半は、脳、心、そして言葉、というテーマに突入する。
清水氏らしい、いろいろ考えるとっかかりになる本、という感じです。
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