NHKラジオ「著者に聞きたい本のツボ」のホームページで音声が聞けるように! | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

「絶望名人カフカ」頭木ブログ

『絶望名人カフカの人生論』『絶望読書』『絶望図書館』、NHK『絶望名言』などの頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)です。
文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

AM放送
NHKラジオ第1
「ラジオあさいちばん」
という番組の
「著者に聞きたい本のツボ」
というコーナーに、
11月19日(土)に出させていただいたのですが、

その放送が、NHKのホームページで聞けるようになりました。

著者に聞きたい本のツボ

安部公房の娘さんの安部ねりさんの下にいます。
なんて光栄な!

これは偶然ではなく、
番組の責任者の方が、
今、安部公房とカフカの重要性を感じておられるそうです。


私は安部公房を愛読していたので、
大学で関東に出てきたとき、
じつは家の前まで言ったことがあります。

とても安部公房らしい家でした。
玄関のドアノブまで、普通ではありませんでした。
そのドアノブの前にまで立ったのですが、
あまりにも尊敬していたので、
ついにベルを押すことができませんでした……。

その後、安部公房が亡くなったというニュースを聞いて、
泣きました。

安部公房論を書こうと思い立って、
安部公房といっしょに芸術活動をされていたこともある
編集者の方から、
奥様の安部真知さんに連絡をとってもらいました。
真知さんは快諾してくださって、
会っていただけることになりました。

ところが、その直前に、
今度は真知さんが亡くなられました。
突然のことで、
その編集の方からの電話が、
最後の電話だったかもしれないとのことでした。

けっきょく、
安部公房邸に初めて入ったのは、
真知さんのご葬儀のときでした。

あの大学生のとき、
勇気を出して、
ベルを押していればと思います。
断られて、傷ついて、落ち込んだだけだったかもしれませんが。