ビックリマーク 外国為替市場で円ドル為替レートが急伸し、1ドル=70円台に突入、史上最高値を更新しました。


日本で大災害が発生すると、為替レートは円高に傾きやすくなります。


95年1月に発生した阪神大震災のときも、1ドル=80円を割るほどの急激な円高が進行しました。


大災害が起こったときに円高が進行するのは日本の企業や個人が流動性を備えておきたいと考え、ドル建ての金融資産を売却して、円に買える動きが強まると考えられるからです。


とくに保険会社などは保険の支払いのために、多額のドル建て資産を売却すると思われています(実際にそうした行動をとるかどうかは最終的な保険支払いの規模によります)。


国内外の投資家は、そのような日本の企業・個人の行動をあらかじめ見越して、投機的に円買いを仕掛けてくるので、円高が加速しやすくなります。現状の円高の原因のほとんどは有利な運用先を求める投機マネーによるものです。


ただ、今後は早い段階で円安に反転してくるのではないかとみています。その理由は、そもそもの地合いが円高ではないからです。


阪神大震災のときは、日本が巨額の貿易黒字を計上するなど、災害の要因を抜きにしても、円高が進みやすい環境にあり、その結果、しばらくは円高トレンドが続きましたが、今回はそのような地合いではありません。


日本の厳しい財政事情や他国と比べたファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)の弱さを踏まえれば、地合いとしてはむしろ円安に反転しやすい環境だと思います。


また、短期的にも、これ以上の円高に対しては、政府・日銀による外国為替市場への介入、あるいは国際協調による介入が現実味を帯びてきますし、また日銀が連日のように短期の円資金を市場に大量供給していることもあって、ここからさらに急激な円高が進むということは考えずらいと思います。


BRICs経済研究所 代表 門倉貴史