BRICs経済研究所 では表題のレポートを発表しました。概要は下記のとおりです。詳細はHPをご参照ください。


最近、クラシック演奏会が静かなブームとなっている。ぴあ総合研究所が推計・発表している「ぴあエンタテインメント白書」によると、クラシック音楽演奏会の入場料収入は、日本経済が低迷していた2000年頃から一貫して増加傾向となっており、直近の2004年は前年比+6.8%の2742700万円を記録した。2006年は天才作曲家ウォルフガング・アマデウス・モーツアルトの生誕250周年ということもあって、クラシック音楽のブームはさらに盛り上がる気配を見せている。

クラシック・コンサートの需要層の大半は主婦層となっている。主婦について年齢別にクラシック音楽鑑賞の参加状況をみると、40歳から54歳の年齢層がとりわけ大きなボリューム・ゾーンを形成している。このことは、子育てが一段落して、時間的にも金銭的にも余裕のできた主婦が自分の趣味のひとつとしてクラシック・コンサートを楽しんでいることを示唆している。

主婦のクラシック演奏会への参加率が高まっている背景には、音楽ホール側の工夫も多分に影響している。「昼クラ」という言葉に代表されるように、最近では音楽ホールやオーケストラが夜間だけではなく昼間にも、各種のクラシック・コンサートを頻繁に開催するようになった。夜間だと主婦や高齢者がコンサートに出かけにくいため、そうした層を取り込むことを目的に企画されたコンサートが「昼クラ」である。

主婦の需要増加が下支え役となって、クラシック演奏会の市場は今後も拡大基調で推移していくことが見込まれる。クラシック演奏会への参加人口が最も多い4054歳までの主婦について、クラシック音楽会入場料収入、クラシック音楽CD売上高の将来予測を行うと、まず、演奏会市場については①少子高齢化が進むなかにあっても、4054歳の主婦層の人口ボリュームが増え続けること、②クラシック演奏会参加率も高まっていくことなどから、2025年まで緩やかに増加していく。市場規模は、2005年時点の44.5億円から2010年は48.7億円に、2020年は63.5億円に、そして2025年には65.7億円まで拡大する見込みだ。忙しくてコンサートには行けないが、家事をしながらCDなどでクラシックを聞いて楽しむ主婦も増えるため、クラシック音楽のCD消費額は、2005年時点の251.9億円から2010年は275.8億円、2020年は359.8億円、2025年には372.3億円まで拡大すると予想される。コンサート入場料収入とCD売上高を合わせた4054歳主婦のクラシック音楽市場は、2005年の296.4億円から、2010年に324.5億円、2020年に423.3億円、そして2025年には 438.0億円まで達する。