最近のシンクタンクが出すレポートの中には質の劣化が著しいものがいくつかある。


経済効果についてもしかり。経済効果とは、ある特殊なイベントが起きたときに、経済にどのようなインパクトが生じるかを一定の前提を置いて試算することであるが(その前提もいい加減なことが多い)、その意味さえまともに理解していないと思われるフシがある。


クリスマスやひなまつり、お花見、父の日、母の日、バレンタインなどは毎年必ず訪れるイベントであるから、基本的には毎年同じ額の消費額・生産額が発生する。こうした四季おりおりのイベントについて、いちいち経済効果を算定するのは、まったくナンセンスというほかない。経済効果と称してやっていることは「経済効果」の算定ではなく単なる「市場規模」の推定にすぎない。市場規模の推定であるから、産業連関表を使って波及効果を出す意味はまったくないし、マクロ経済への限界的な影響はゼロである。しかもクリスマスなどの場合、通常のイベントよりプレゼントの輸入が多くなるのだから、GDPに入らない漏洩の部分が相当大きくなるはずである。


タイムシリーズによる比較で、今年は昨年にくらべてこういう事情があるから、波及効果が大きくなるというのであればもう少しまともなレポートになるとは思うが・・・。


もっとも、経済に詳しくない人たちはこんな意味のないレポートでも飛びつくかもしれない。