小さな名画座を営む夫婦と従業員の青年、そして彼らを取り巻く人々の人生模様を描いた作品で、原作は浅田次郎、監督は三枝健起、主演は宮沢りえと加瀬亮、共演は宇崎竜童、田口トモロヲ、樋口可南子、原田義雄、中原ひとみ等です。
(2007年度:東映)
夫に先立たれた妻と彼女を献身的に支える従業員の微妙な関係を、劇中で何度か上映される『無法松の一生』にダブらせるアイデアが良かったです。それに繊細なヒロインを好演した宮沢りえが魅力的で、昭和30年代の雰囲気も巧みに出している一方、主役の二人と、彼らを慕っている少年少女との間に、大したドラマが発生しなかった点に物足りなさを感じました。そこそこ良い作品ではありますが、残念ながら日本版『ニュー・シネマ・パラダイス』と呼べるレベルには達していません。
(日本映画専門チャンネルで鑑賞)