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このエントリー記事の考察の範囲からはPh.d やFine Arts 系は除いています。というか、MBAとロースクールを始めとするプロフェッショナルスクール、ならびに、人文・社会科学・工学系の専攻だけを念頭に置いて話を進めます。また、説明に際して用いる英語力の指標としては「TOEFL」 ではなく「TOEIC」の数値 を使っています(受験者が多く話が分かりやすいと思うから)。


そして、私自身は、この「英米の大学学部・大学院留学研修」の分野で足かけ20年以上の職務経験があり、(それが本当かどうかは怪しい(笑)にせよ、世間的には、まず間違いなく)この分野の「専門家」の一人ですが、本稿は具体的や実践的な「合格ノウハウ」とは無縁の、「アメリカ大学院留学準備の方法論」をネタにした、白黒はっきり言えば、日米社会の比較を念頭に置いた随想にすぎません。よって、例えば、


б(≧◇≦)ノ ・・・2013年秋にどうしてもHBS(ハーバード大学MBA)に入学したいのぉー!


という方には本稿は「一文の足しにもならない、時間の無駄」です、「多分」ではなく「間違いなく」。而して、そのような方には、他の無限にあるその筋のブログなり、TOEFLゼミナールなりイフ外語学院なりの専門予備校に相談に行かれることをお勧めします。


はい。「アメリカ大学院留学」程度のことでも、「お客さん、ただで手に入る情報にたいした情報はありませんでぇ」ですよ、多分。と、前置きはここまで。



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さて、みなさん、希望大学院のサイトでアドミッションのページを確認していますか?

出願には何と何が必要と書いてありましたか?


そうです。そこには大体は、


(a)Appication Form

(b)学部や大学院の成績証明書(念のため卒業証明書も)

(c)銀行の残高証明書や企業派遣や官公庁の派遣の場合にはスポンサーの費用負担確約書

  (個人スポンサーの場合には、確約書とスポンサー名義の銀行残高証明書)

(d)アプリケーションフィー(出願費用)


そして、


(e)推薦状

(f)TOEFLスコア

(g)GMATGREその他適性試験のスコア

(h)Civil Engineering等、Fine Arts系やMusic以外の専攻でも、場合によっては、

  過去の作品サンプル、ポートフォリオ等


が要求されているはずです。また、「受験者=自分の大学院プログラムの来年度の学生候補」のPractical English skillにより強い関心のある、MBA等の大学院によっては、


(i)現地や日本でのインタビューが課せられることもままあります。


尚、どんな留学ガイドブックにも「合否を左右する重要なアイテム」と書いてあるエッセー、つまり、出願者の志望理由をまとめた文章・小論文は、上記(a)の中に、その課題文やテーマが示されているのが一般的でしょう。つまり、(a)の中にEssayStatement Purpose と書かれている記入項目のこと。


要は、


(a)Appication Formは、正確には、

(a’)Appication Form including Essay


ということです。ビザ発行手続きの一部が混入しているにすぎない「健康診断書」や「国籍証明」、極めて希に求められることもある「アメリカ政府に対するテロ行為を企てないと推察させるに十分な証拠」等々を、「合否の結果」に影響を与えないドキュメントと看做させていただければ、アメリカの大学院に留学しようとする方に要求されているのは、上記、(a’)~(i)の最大9項目だけということになります。


要は、これだけ。はい説明終わり。

では、頑張ってください。

御武運をお祈りいたしております。


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てなわけには行きませんよね。続けます。

本稿でご説明したい最初のTips/ポイントは・・・、


はい。ポイントはここに書いていない「出願の締め切り日:dead lineです。

どうです、どうでしたか、どこも結構早いでしょう?


2012年の秋入学の場合、今日、1月29日であれば半分くらいの大学院の締め切りが終わっている、鴨。このすぐ後に書きまますが、MBAの「上位校」の場合はすでにその75%弱がもう出願公募を締め切っている、鴨。まして、東日本大震災の日、「3月11日」の午後2時46分、アメリカ東部時間(EST)3月11日の午前0時46分には、イリノイ大学等々の特殊な例外を除けば、ほぼ100%の大学院の窓口のシャッターは降ろされていると思います。畢竟、英米の大学院合格の最大のポイントはこの出願の早さなのです。


而して、締切日までに、原則、上で確認したすべての出願書類や情報を志望校に送付しなければなりません。つまり、英米の大学学部や大学院には<入学試験>というものはありません。すべて、書類審査、若しくは、インタビューで合否が決まる、ということ。


よって、出願準備の全プロセスを通じて、タイムマネージメントの能力が(それは、セルフマネージメントの能力でもありましょうが、精神論ではなく、タイムマネージメントスキルでありセルフマネージメントスキルとも言うべき、習得可能で伝授可能な「技術」とアメリカ社会では考えられていますけれども、そういう、タイムマネージメント、若しくは、セルフマネージメントの能力やスキルが)要求されているということです。


ということで、では、次のセンテンスを大きな声で3回読んでください。

はいどうぞ~♪


大学院留学の最大のポイントは時間である!



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hard-working students in Harvard Univ.



さて、制限時間が与えられている場合、どんな人が有利でしょうか? 将棋でも囲碁でも大学入試の長文問題でもTOEICでもいいですから想像してください。そうです。①情報処理が速く、②全体的な問題把握能力に優れ、そして、③情報処理のキャパの大きな人が有利ですよね。


例えば、詰め将棋なんか必ず正解があるのですから、誰でも順を追って考えれば解けるはず。と、一応言えますよね。しかし、15手詰めの作品なんかでは素人は3日3晩考えて解けるか解けないかなのに、プロ級の方は(時には失敗しますが!)大体1分あれば確実に解きます。これ総て、情報処理の速さと全体的な問題把握能力と情報処理のキャパの違い。


くどいですが、TOEICのリーディングセクション75分で足りますか? これまた人による(というかその方の性格とその受験回で最低何点取りたいかの「獲得目標値」にもよるでしょうが、)何度受験してもコンスタントに930点をキープできる方は、大体、10分は残してマークシートを塗り終えていると思います。でも、730点レベルの受験者の方だと「もう10分は欲しい」というのが正直なところではないでしょうか。


ここに、アメリカ大学院留学準備の二番目のTips/ポイントがある。それは、ずばり英語力。


つまり、英語力は(f)TOEFLスコア,(g)GMATやGREその他の適性試験のスコアにだけ反映される/適性試験のスコアとしてだけアピールやデモンストレート可能なものではないのです。それが乏しいと(a)~(i)の総ての出願クラィテリア作成準備の作業工程を圧迫することになるのです。だから、「英語力がなければ時間がない。ならば、時間と英語力は金で買いましょう」という大学院留学予備校のセールストークも満更嘘ではないことになります。


ということですから、留学予備校にあんまり儲けさせるのも癪だよな、という方は、留学時期を延ばして、まず英語力を上げるのが、間違いなく、幾つかある内の「正解」の一つなのです。


ことほど左様に、(働きながらの私費留学か、24時間×1年間なりの時間をフルに留学準備に当てられるか等々、各自の事情にもよるでしょうが、)理工学系を除き中堅以上の英米の大学院を狙う場合、(a)~(i)という留学準備を始める前の、秋入学前年の4月1日に(例えば、2013年秋入学を目指す場合、2012年4月1日に)、最低でもTOEIC で700点は欲しい、逆に、600点なければ翌年の留学は難しいと私は思います。


もちろん、これは確率の話であり、奇跡は必ず毎年何%か起きます。だから、運試しにやってみるのも悪くないかもしれません。でもね、でもですね、「ラッキー」というのは滅多に起きないから「ラッキー」と言うということは、その場合でも自覚しておかれた方が精神衛生的にも良いと思います。為念。


ということで、また、次のセンテンスを大きな声で3回読んでください。

はいどうぞ。


大学院留学のポイントのポイントは準備開始時点の英語力である!



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どんなタイプの人が合格するの? これを出願準備開始前に真面目に考えてください。出願準備中もいつも意識してください。英米の大学大学院には「入学試験」はなく、総て、相対評価で合否が決まるのですから。ならば、ご自分が積み重ねられている「努力」が、「志望校合格:アドミッションのゲット」という目的のために合目的的かを絶えずチェックすることが重要でないはずはないでしょう。あくまでも、その「努力」が他者との比較において、かつ、志望校の合否判定者(アドミッションコミッティーメンバー)にとって、ご自分をより好ましい出願者にする限りにおいてのみその「努力」は意味のある「時間とお金の投資=有象無象の他の欲望の抑制」であり得るのですから。


アメリカの大学院入試に際しても、もちろん、(b)学部や大学院の「成績:GPA」,(f)TOEFLスコア,(g)GMATやGREその他適性試験のスコアによる「足きり」は存在します。しかし、その足きり通過者の間ではそれらのスコア順に合否が決まるわけではありません


だから、まだTOEFL や GMAT の足きりスコアも通過していないのなら、持ち時間は優先的にこれらに投入すべきでしょうが、これらのスコアメイキングの目処がたった時点では、出願準備期間という「制限時間」の合理的使い方を巡って脳髄に汗をかかせるべきでしょう。


換言すれば、スコアもの以外の他のクラィテリアに反映される/反映可能な、自分のストロングネスとウィークネスを想定・換算して、長所をどう伸ばすか短所をいかにカバーするかを、しかも、与えられた「制限時間」の範囲内ではどの「努力の組み合わせ=努力のポートフォリオ」が最適かということを睨んで、「制限時間」という<時間の予算>の合理的かつ戦略的な配分・投下戦略を立てるべきなのです



大急ぎで補足しなければならないことがあります。それは、ここでいう「相対評価」の「相対」とは全出願者ボディーではなく、取りあえず、日本人出願者あるいは東アジアからの出願者集団ということ。


簡単な話です。英米の大学院は(いやしくも、それが中堅以上のプログラムであれば、)高いレベルの多様性をキャンパスに具現したいと考えています。はっきり言って、ハーバードやスタンフォードに入学したいという学生はアメリカ国内だけでも潜在的には定員の数倍から十数倍、否、数十倍はいるのです。


では、なぜ、定員枠の一部にせよ、わざわざその貴重な定員の幾ばくかを日本人や日本市民(在日外国人の出願者諸君! 頑張れ!)に与えているでしょうか? 何ですと?


アメリカや英国は、フランスやドイツ、まして、北欧ほどではないにせよ、

「地球市民意識に溢れる/普遍的人権の価値を尊重する、えー国にやさかい」、ですと?


馬鹿か!


おっと失礼、下品な言葉が出てしまいました。

しかし、誤解がないように、もう一度。


б(≧◇≦)ノ ・・・アホか、おのれは!


彼等が、日本からの出願者に「入学許可:アドミッション」を与えるのは、その大部分を占めるアメリカ人学生の学習、ならびに、大学院プログラムのファカルティー(大学院プログラムに所属する研究者集団)の研究にとってその方が(アメリカ人/英国人だけで固めるよりも)役に立つからです。その方がその大学院プログラム自体のアメリカやイギリスの社会に対する貢献度が高くなると考えるからです。


ならば、日本からの出願者の敵は同じ日本からの出願者ということになる。

ならば、日本からの出願者は、他の日本からの出願者に対して自己を差別化しなければならない。


もちろん、その「差別化」は、あくまでも、志望校のアドミッションコミッティーメンバーがより好ましいと感じるであろう方向に向けて行われるべきことは言うまでもないでしょう。実際、最近では日本の私立高校入試でも個性的なこと/オンリーワンであることが重要とされるようになったと言っても、例えば、「万引きやらcompensated datingやらでの補導歴数知れず」という方向での自己差別化が、その志望校から合格通知を獲得する上で彼や彼女に有利に働くと考える人はそう多くはないでしょうから。


ことほど左様に、日本からの出願者は自己を他の日本からの出願者に対して差別化しなければならないのですけれど、この差別化を展開する主な舞台になるのがエッセーなのです。だからこそ、エッセーは「英米の大学院留学の合否を左右する重要なアイテム」ということになる。そして、蛇足ながら、(e)の「推薦状:recommendation or reference letter」も、(b)の大学学部や大学院の学業成績(GPA)もエッセ-を理解・評価するための補足資料でもあるのです。


では、次のセンテンスを大きな声で3回読んでください。

はいどうぞ~♪


大学院留学は日本からの出願者の中での相対評価で決まる!



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記事の後半に入ります。ここからのテーマは、もちろん、


б(≧◇≦)ノ ・・・「エッセー」!


です。而して、英米留学準備において「エッセー:Essay, Statement of Purpose」とは、志望理由や自己紹介をまとめた小論文のことを言います。特異な例を除けば、完成品のそのボリュームは250ワードから4000ワード程のもの。そして、中堅以上の大学院を目指しておられる方の場合、


大学院留学の合否は「エッセー」で決まる!


とは、耳たこ程ではないにせよ、恩師・先輩、留学予備校の営業担当者、企業の人事研修担当者等々から聞かされた方も少なくないと思います。而して、私の経験から断言します。


その情報は、Yes/No だよ、と。


うみゅ、「ふにゃー、何ですかその回答は」ですって? 私は嘘は申しません、とは言わないが、自分のブログでは嘘はつきたくありません(笑)。ですから、正直にYes/Noなのです。



すなわち、(これは再度申し上げることですが)エッセーが各種スコア(TOEFL、若しくは、 GMAT, GRE, LSAT等々の適性テスト、ならびに、大学学部・大学院時代の成績)より重要と言えなくもないとしても、それは、あくまでも、各種スコアでの足きりを通過した方についてのみ言えることなのです。


よって、TOEFL、若しくは、GMATやGREの基準点クリアの目処も立っていないのに、上述の「時間の予算」の配分において、エッセーやインタビュー対策に重点を置くなどは愚の骨頂。それは、「貴殿はまだ土俵にあがってもいない」、否、「国技館のあるJR両国の駅に下車してもいない」事態。ならば、上の命題は、より正確にパラフレーズすれば、大学院留学の合否に関しては、


TOEFL、ならびに、GMAT、若しくは、GRE等のスコアが原因で合格することはないけれど、

TOEFL、ならびに、GMAT、若しくは、GRE等のスコアが原因で不合格になることはある。

よって、大学院留学の合格は「エッセー」で決まる。

而して、「不合格」が「合格」の論理的な否定である限りにおいて、

「大学院留学の合否は「エッセー」で決まる!」という命題は間違いではない。



ということになる。而して、これが上で「Yes/No」と記した理由です。

以下、次項以降、エッセー作成の各論の説明を行います。


尚、出願準備期間の個々の時点で、エッセーにどれくらい時間を割くべきか/エッセー作成のための工程表とその工程表の諸要素にはどんな項目を織り込めば、複数の大学院プログラムの、よって、複数のタイプのエッセークエスチョンに答える上で最も効率的か等々については、留学経験者なり信用のある大学院留学予備校に相談されることをお勧めします。



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◆エッセーはなぜ重要なのか? どの程度重要なのか?

逆の方向から考えましょう。その切り口は、「一体、エッセーは何を聞いているのか/エッセーには何を書けばよいのか」です。と、ここでも最初に断っておきますが、エッセー指導は極めてコンフィデンシャルな作業であり、合否を分けた(と思われる)事項について具体例を出して説明すればそのモデルになった方が特定されかねません。よって、以下の記述は、上記以上に抽象的かつ一般的なものになります。


さて、繰り返しになりますけれど、英米の大学院は自分の所に役に立つと思うからこそ(自国の入学希望者の席を何割か割いて)外国人を受け入れるのです。だから、英米の大学院にとって合格させたい日本人出願者とは<その大学院に、他の日本からの出願者に比べてより役に立つであろう出願者>ということ。


では、<役に立つであろう出願者>とはどんなタイプの出願者でしょうか? 

簡単です。それは、


(0)退学処分(kick out)を喰らうことなく

(1)授業やキャンパスで他の学生に良い刺激と良い情報をもたらしてくれるであろう

(2)卒業後/学位取得後、世間や世界で活躍して、その大学院プログラムの知名度や権威性のアップ

  に貢献してくれそうな、そして、

(3)将来、出願者本人かその関係者が寄付なんかも、「どーん」としてくれるかもしれない出願者


なのです。ですから、出願者のアカデミックな優秀さはその出願者が<役に立つであろう出願者>であることの必要条件ではあるかもしれないが、十分条件ではない。而して、これら必要条件と十分条件との乖離は、Ph.dコースや入学時にそれなりの専門性を要求される一部の人文科学や基礎研究分野の自然科学ではそう目立ちませんが、エンジニア系の大学院プログラムやMBA、そして、ロースクールでは合否を分けるクルーシャルポイントになっています(★)。


そして、この<役に立つであろう出願者>かどうかを判定するための最重要の情報がエッセーなのです。而して、MBAやロースクールの上位校では(0)「退学処分を喰らうことなく卒業」できるであろう日本人出願者だけでも日本人枠(★)の数倍に達しますから、実に、エッセーはMBA等の上位校では各種スコアよりも重要と語られるのも不思議ではないの、鴨。



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★註:MBA学生への誤解
日本ではいまだにMBA(ビジネススクール)に留学していると言えば「かっこいい」と思われ、それが、トップ10のMBAともなるとちょっとした騒ぎになるようです。まさか、「末は博士か大臣か」ではないのでしょうが、留学というか合格が決まった段階でその出願者は「ビジネスエリート」と目される傾向はまだ存在していると思います。


はっきり言います。もちろん、(日本人にとっては、異文化体験や若干の英語力の向上、若しくは、国際的な人脈の構築、更には、職歴・学歴のリセット(キャリアロンダリング)という付加価値があるにせよ、)英米の人々にとってのMBAは「今は偉くない人が、これから偉くなるためにしかたなく高い授業料を払って、逸失利益や期待利益も含めればそうそう低くないリスクを取った上で通っている場」なのです。


例えば、バブル期の真っ盛り、ある巨大金融機関の若手幹部がトップ5クラスのMBAに出願した所、「あのー、うちは将来、運がよければ貴殿がいまお持ちになっているビジネス的の影響力を持てるようになりたいものだよな、という学生が来る所なんですよ。それでも、出願しますか?」という丁寧な問い合わせが帰ってきたことがあるくらいです。


★註:全定員>外国人定員>東アジアからの留学生定員>日本人の定員
本文では「日本人枠」という大学院留学業界のジャーゴンを敢えて使いました。賭けてもいいですが(I can bet you all amount of my money!)、米国の大学院に「お宅には日本人の留学生枠はありますか?」と聞いたら、どこも「そんなんあらしまへんがな」と即答されると思います。


しかし、5年・10年・20年と、ある大学院の日本人入学者数や合格者数を定点観測する場合、社会学的(笑)には明らかに<日本人枠>は存在します。ただし、米国や英国の名誉のために言えば(また、この豊葦原之瑞穂国の現状を慷慨して言うに)、この<日本人枠>は永遠に固定したものなどではない。実際、他の東アジアや南アジア諸国から優秀または有力な出願者が増えるにともない、全体の傾向としては、この20年間では確実に日本人合格者数や入学者数という、<日本人枠>の面積は縮小してきていますから。


蓋し、この枠は、アファーマティブアクションとパラレルな人種逆差別的な学生集団の構成原理としてというよりも(というか、アファーマティブアクションに厳しい制約を課した「Regents of the University of California v. Bakke,438 U.S.265(1978)」等の連邦最高裁判例に従いながらも、黒人の志願者を優遇し続けるためには、「多様な人種的と民族的の分布」をキャンパスに実現するという名目で、黒人に対する優遇措置を温存するしかないこと、その路線の「反射的利益」の恩恵としてではなく、)あくまでも、アメリカの大学院が自国社会への貢献度を極大化するために適宜変更する学生採用戦略の一種のパラメーターだと私は考えています。



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◆エッセー作成の心構えのようなもの
苛政は虎よりも本当に猛かどうかは知りませんが、入学時にそれほどの専門性を要求されない分野の英米大学院留学に限定すれば(特に、上位校の場合には、かつ、上に述べた如く「土俵に上がった出願者」につとっては)、エッセーはスコアより重要です。


では、どんなエッセーが良いエッセーなのでしょうか? 


これまた簡単です。それは、合格者のエッセーです。就中、スコアの面では自分より遥かに高い他の日本人出願者の馬群から抜け出してTopスクールの合格許可通知をゲットした合格者のエッセーです。あるいは、スコア的にも申し分がない上に、(全盛時の朝青龍や白鵬、千代の富士や北の海、あるいは、大山永世名人や羽生永世名人有資格者の如く、憎らしいほど)番狂わせを起こさせることなく、出願した複数のTopスクールすべてに、パーフェクト合格を果たした方のエッセーです。


そのような、過去の<良いエッセー>から私が抽出した、<良いエッセー>が備えておくべき「最大公約数」的のポイントを以下簡単に指摘しておきましょう。しかし、ここでも先ずは基本の再確認から。学習の基本は復習であり、学習の秘訣は予習ですからね(笑)


基本の確認
英米の大学院は<役に立つであろう出願者>を合格させようとします。それは、以下の3個(4個ではあるが、上位校の場合は(0)は必要条件なので3個になります)。


(0)退学処分を喰わず卒業できる
(1)他の学生によい刺激とよい情報をもたらす
(2)卒業後、活躍する
(3)将来、寄付金をしてくれる/寄付金を集められる



この基本を踏まえた上で、而して、エッセーを審査するアドミッションコミッティーのオフィサーは、次のような三段階のチェックポイントをもうけてエッセーを読み進めると私は考えています。それは、


エッセーを審査するアドミッションオフィサーの思考の流れ
(A)出願者の大学院留学の(特に、「当校」に入学したいという)決意は合理的、かつ、情熱的か

(B)出願者の動機は合理的で情熱的だとして、彼女/彼は、入学後、他の学生に良い刺激と貴重な情報を与えるタイプの留学生か

(C)出願者が動機の点でも能力や他の学生への貢献度の点でも申し分ないとして、しかし、彼女/彼は大学院卒業後に社会で活躍するタイプの留学生だろうか


ここで重要なことは、(C)には、所謂「倫理的基準」もまた含まれるということです。

つまり、(C)はより正確には、


(C’)出願者が動機の点でも能力や他の学生への貢献度の点でも申し分ないとして、しかし、彼女/彼は大学院卒業後に社会で活躍するタイプの留学生だろうか、しかも、その活躍は社会の倫理にも適ったもので、我が校の名誉を高めるタイプの活躍だろうか、と。


そうパラフレーズできると私は思っています。例えば、ある東海岸の二つのTopスクールMBAのアドミッションディレクターから、異口同音に私は次のような言葉を聞いたことがありますから。


まあ、うちの大学院の卒業生という「成功へのパスポート」を持って卒業するんだろうから、その学生が卒業後社会的に活躍するのはほぼ間違いない。だから、我々としては、彼女や彼にそんな「成功へのパスポート」を付与することになる以上、単に彼等の成功する可能性の度合いだけではなく、世間から後ろ指を指されることがないような人物であるかどうかにも関心を持たざるを得ないのですよね、と。


まあ、凄い自信ですこと。と、リーマンショック前後の彼の地のMBAホルダーの醜態を想起するに、今ではこれを書いていて苦笑を禁じ得ませんけれどもね。これからの出願者にとって大事なことは(なんせ、出願者はどこまでいっても「俎板の上の鯉」なのですから。)、しかし、この英米の名門大学・大学院における「MBA帝国主義」や「MBA天動説」は、確かに滑稽なほど不愉快ではあるけれど、彼等はリーマンショックの後だろうが、EU危機が燃えさかり鎮火の兆しさえ見えなかろうが、若しくは、「the 99%」がウォール街を占拠しようが、上記の自己中的世界観を毫も修正してなどいないだろうことです。


ことほど左様に、蓋し、大学院留学予備校業界の専門用語を使えば、(A)Objective, (B)Achievement, (C)Contributionの三者を私は、アメリカのみならず、MBAのみならず、英米大学院におけるエッセー審査の思考枠組みだと考えています。


最後に、本物のエッセーテーマを題材に本稿の情報の定着度を確認しましょう。そう、「章末演習」問題。尚、著作権にちょびっと配慮して些か古いもの。いずれも2009年度のMBAのエッセーから選びました。


では頑張ってください。そして、

日本のためにお互いに各自自分の持ち場で頑張りましょう。

共に闘わん!



Harvard University
1. Describe a significant change that you brought about in an organization

 and its impact on your development as a leader.
2. What are your three most substantial accomplishments, and why do you view them as such?
3. Provide a candid assessment of your strengths and weaknesses.
4. How do you define success?
5. What are your career aspirations, and how can an MBA help you to reach them? Why now?
6. What do you wish the MBA Admissions Board had asked you?


▼#1は(B) #2は(B) #3は(C) #4(B)と(C)

 #5(A) #6は出願者のタイプにより有利な題材が分かれるが通常は(A)か(C)



・Stanford University
Essay A: What matters most to you, and why?
Essay B: What are your short-term and long-term career aspirations?

   How will an MBA education further your development?

   Why does the academic experience offered at the Stanford GSB appeal to you?


▼#Aは(C)と(A) #Bは(A)

 但し、スタンフォードは(B)に関しては客観的な情報を

 エッセーとは別に出願書類の中で詳細に披露しなければなりません。



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