155冬の陣・・・金融不安燻る | 株式祇園精舎

155冬の陣・・・金融不安燻る

今日の東京株式市場は大幅続落しました。


今日の指数:
日経平均 15,536.52(-395.74)円
TOPIX 1,516.10(-40.83)
Vol. 216201万株
225先物(期近) 15,520(-380)円
225先物(期先) 15,540(-400)円
225mini 15,505(-410)円


日経JASDAQ平均 1,759.53(-5.80)円
マザーズ指数 869.22(-17.44)
ヘラクレス指数 1,288.66(-32.88)


USD/JPY(16:00) 111.65-70



今日の相場、オプション12月限プット15,500円は怒涛の展開でした。20円から一気に100円まで駆け上がりました。低位材料株物色も盛んだったですが、こちらの仕手相場の方がはるかに凄まじいです。値幅制限も意識されることのない世界ですしね。引け際に突如80円に2000枚強の買い指値に全般相場が完全にやられた、そんな感じの相場だったのでしょう。



昨日のNY市場は反発しました。FRBががECBなど5中央銀行が短期金融市場への流動性供給を発表、サブプライム問題を発端とした金融市場の信用収縮への懸念が和らぐのではないかとの見方から大幅高で始まりました。また、朝方発表したスリーエムの決算と利益見通しが市場予想を上回り、これを好感した買いも入りました。朝方はDJIAは一時270ドルも騰がっていく場面もありましたが、その後は上値の重い展開となっていきました。


DJIAの日中足


DJIA Tick



CME225先物の15分足


CME225F 15min


しかし、バンク・オブ・アメリカが10-12月の住宅ローン関連証券などの評価損が事前予想よりも拡大するとの見通しを示し、さらにワコビアも評価損計上額が当初の見込みよりも上回ると発表、金融機関の業績悪化懸念から金融株が売られ、DJIAは一時マイナスに転じる場面もありました。引け直前に持ち直し、何とかプラスで引けました。CME225先物は大証比20円高の15,920円となりました。



市場筋による寄り付き前の売買注文動向は売り2610万株、買い2380万株、差引230万株の売り越し、金額ベースでも小幅売り越しとなりました。各社共通の売りセクターは小売。買いセクターは化学との観測となりました。朝方はメガバンクの一角などに売り優勢、国際優良株の一角に買い優勢となっていました。大証よりも15分早く始まるSGX225先物市場では15,915円で始まり、欧州系証券の売り観測が目に付く展開、15,900円を割り込むと一気に15,825円まで売り込まれる展開となっていました。オープニングは先物は売り気配で始まり、15,820円で寄り付きました。現物のSQ値は前日比120.59円安の15,811.67円となりました。その後は15,840円まで買い戻される場面もあり、現物は9時4分に今日の高値、前日比99.16円安の15,833.10円を付ける場面もありましたが、断続的な売りが先物市場に出され、一気に15,800円を割り込む展開、一時15,770円まで売られていく展開となりました。その後は買い戻しも入りましたが、15,800円のところは非常に重い展開、その後も投げ売りなどが出され、9時30分ころには15,750円あたりまで下げていく形、その後は15,750円を中心にオプションのコール16,000円、プット15,500円の動向を睨みつつ、またロール主体の動きが225では継続しており、その後は15,750円を中心としたレンジの展開となりました。ただ、TOPIX現先(限月交代がほぼ終わり、期先中心に商いが行われていた)のスプレッドの縮小傾向が止まらず、メガバンクなどに裁定解消売りも出され、225は安値もみ合いながらもTOPIX型ではじりじりと値を下げていくような展開となっていました。10時台に入っても15,750円を中心として狭いレンジの中でのもみ合いに終始する展開となっていました。10時50分には15,710円まで売られる場面もありましたが、その後は何とか持ちこたえるも、安値圏での引けとなりました。


225先物の日中足

225F 5min
SGX225先物の日中足


SGX225F 5min


USD/JPY 日中足


USD/JPY 15min


債券先物の日中足


JGBF Tick


TOPIX現先のスプレッド


TOPIX spread



東証昼休みの立会外バスケット取引は573億円成立し、市場では「売り買い交錯」との観測となりました。大証よりも15分早く始まるSGX225先物市場では15,720円で寄り付いた後は小動きとなっていました。後場寄りは先物で10円安、現物は13円強安いところでの寄り付きとなりました。その後は15,770円まで買い戻しや押し目買いが入るも、金融株の戻りが鈍く、さらに値嵩株も軟調となっていたことから先物に断続的な売りが出され、裁定解消売りも出されていきました。


12時34分からの先物の歩み(大口売り/ロールが進展しており、期近物では板が薄い)
12:34 15,750@100枚
12:34 15,740@195枚
12:36 15,730@116枚
12:36 15,720@スライス179枚程度
12:37 15,710@456枚
12:28 15,700@スライス129枚程度
12:39 15,690@243枚
12:39 15,680@103枚
12:41 15,670@284枚


このような形で売りが入り、12時41分に15,660円まで売り込まれる展開となりました。その後は買い戻しが入り、15,700円近辺まで戻してその後はこのあたりのゾーンで一進一退の展開となりました。13時台に入り一旦15,740円まで買い戻す動きもありましたが、なかなかそこから戻る感じでもなく、現物勢も今晩のリーマンから始まる投資銀行の決算や明日のSQや日銀短観など重要イベントが控える中で積極的に押し目買いを入れる向きも少なく、そして13時30分に今日の安値、15,670円を割り込み、オプションのプット15,500円のプレミアムが急騰していく局面でヘッジ売りが出されていく展開、15,630円まで売られた後に15,690円まで戻して再度15,600円まで売り込まれていく荒っぽい相場展開となっていきました。しかし、15,500円を割り込ませたくない向きの防戦買いも入り、その後も15,650円近辺まで買いすすまれる局面もあるも売り圧力はそれ以上に強く、その後14時台に入り、14時17分には15,600円を割り込み、ITM期待でプット15,500円がさらに買い進まれる展開、デルタの上昇とともに先物にヘッジ売りの圧力やこのポジションを巡る思惑売買が重なる展開、一気に14時38分には15,530円まで売られ現物も14時40分に今日の安値、前日比399.73円安の15,532.53円を付ける場面もありました。その後も何度も15,500円寸前のところまで売り込まれるも、買い戻しも入り、15,530円から15,570円までの間で一進一退の展開となっていきました。そして大引けではインデックス売買では買い本数が多いものの直近の値からは15.42円安く引け、安値圏で取引を終えました。その後のヘラタイムの先物市場では15,500円の買い方と売り方の攻防の様相、引けに掛けて一時15,500円を割り込む場面もありましたが、何とか引けでは15,500円台を確保して引けました。結局現物に対して225では16.52ベーシス、TOPIXでは3.6ベーシスのディスカウント状態で引けました。


その後のイブニング・セッションでは、かなり荒っぽい相場展開となりました。それと共に中心限月は2008年3月限に移行しました。寄り付きは日中取引終値比変わらずの15,540円で寄り付き、その後売り優勢、一時日中取引終値比90円安の15,450円まで売られましたが、17時15分あたりから急に買い戻しの動きが入り、買いの動きが活発化、17時52分には日中取引終値比80円高の15,620円まで買い進まれる場面までありました。この間イブニング・セッションではまれにみる値幅で、実に170円幅の値動きとなりました。その後は15,500円台後半のところでもみ合いの展開となり、18時以降は値動きがやや沈静化していきました。結局日中取引終値比30円高の15,570円で引けました。



今日のところの商いは、現物市場では出来高21億6201万株、売買代金は2兆8081億円となりました。先物市場では225は期近で7万4932枚、期先で5万4786枚となり、合計で12万9718枚となり、SQ前にしては活況ではなかったものの、買い指値が期近、期先ともに薄く、ちょっとしたロットで値が飛びやすい展開となっていました。建玉は225型で期近では1万1096枚減少の24万9109枚、期先では4万9879枚増加の24万5178枚となりました。TOPIXでは期近では5万6797枚減少の15万3016枚、期先では2万1731枚増加の36万504枚となりました。225miniは期近で20万7403枚となりました。個人中心に建玉を期近で増加させたようで2554枚増加の18万5040枚となりました。SQ値狙いなんでしょうか。



オプション市場では12月限でコール16,000円、プット15,500円が大商いとなりました。


225オプション12月限 相場表


225OP 0712


225オプション1月限 相場表


225OP 0801


今日のところは、対象原資産が朝方から安くなったことからプット15,500円に買いが集まり、15,800円を割り込む時点でプラス圏に浮上していきました。その後も40円近辺で推移、後場寄りに60円まで買い進まれたあとはザラ場でもタイムディケイが効く展開(普通は時間的価値は日数ベースで減少していくものなのですが、SQ前日では分単位ごとに減少していくといった構図)、であり、ちょっとした戻しでも一気に15円くらい値が沈むような展開となっていました。しかし、大引けに掛けて対象原資産が権利行使価格15,500円に接近、遂に大引け直前にその値を先物で割り込んでしまい、ITMとなり、結局高値引けとなりました。商いは2万6394枚となりました。一方で15,750円あたりではプット15,500円とプレミアムが接近していたのですが、対象原資産が15,500円方向に傾き、16,000円以上のSQ値の可能性がほぼなくなったことから売り優勢、結局前日比79円安の1円で引け、プレミアムを消しました。商いは2万8759枚となりました。プレミアムからは明日のSQ値は15,500円を割り込んで決着するといった構図となっています。このあたりで落ち着けばSQに関しては波乱がないものと考えられますが、NY市場次第では若干の波乱の可能性もあります。しかし、15,500円で引けたこのゾーンであればほぼ問題は無いところなのかもしれません。


1月限ではプットが大幅高もコール11,500円以下のところではプレミアムが復活する気配はありませんので、ボラはそれ程高い構図ではない感じもします。先高観もありませんが、極端な先安観もあまりない形となっています。ただ、依然としてコールは割安感があり、歪み訂正の可能性はないわけではありません。



新興市場は日経JASDAQ平均が続落、マザーズ、ヘラクレス両指数は反落しました。やはり12月6日に実質最高値882,000円を付け、今日の528,000円と実に5営業日で34%程度下げてしまった2432 DeNA ショックが尾を引く展開となっていました。直近数日でネット系の下げがきつく、また商いも減少傾向になったことから小口の売りでも値を崩してしまう展開となっていました。


今日のところは、東証一部では、


値上がり 131銘柄
値下がり 1,544銘柄
変わらず 51銘柄


騰落レシオ 90.15


となりました。まぁ、TOPIXが40ポイントも下げていますので全面安商況も仕方がないところです。また、大型株の値崩れが大きく、


大型(-2.86%) 中型(-2.28%)小型(-2.09%)


となりました。メガバンクや不動産の崩れが相当きつい感じでした。業種別では33業種中鉱業除く32業種が安くなりました。銀行、不動産、その他金融、証券、保険といった金融株がきつい下げとなっていました。バリュー系も下げがきつい展開となっており、このあたりは欧州系の売りが観測されたという形でした。


TOPIXではプラス寄与度トップは6758 ソニー となり、以下1605 国際帝石9437 NTTドコモ の順、この3銘柄で指数をわずか0.416ポイントの押し上げにしかなりませんでした。上位には中型株で騰がっていたものや材料株的なものも入っていました。一方でマイナス寄与度トップは東証一部値下がり率ランキング7位となった8306 三菱UFJ となり、以下8316 三井住友8411 みずほ の順、メガバンクがワーストスリーとなりました。この3銘柄で指数を8.049ポイント押し下げ、指数の下げ分のうち19%を占める形となりました。225ではソニーと9433 KDDI がプラス寄与度トップとなり、指数をそれぞれ2.465円押し上げました。反面、マイナス寄与度トップは6857 アドバンテスト となり18.898円押し下げました。マイナス寄与度上位10銘柄で指数を116円押し下げていた計算です。


今日のところの下げに関しては主に2つの側面がありました。


信用収縮の問題がここまで厳しい情勢であるということを認識させられた
225オプションプット15,500円ターゲットの思惑売買・デルタヘッジの売りを誘う


このような構図があったものと思われます。


金融株が値下がり業種上位を独占していたことは、5中央銀行の資金供給について、つまりそれだけ世界の金融市場の情勢が厳しいことの裏付けとなった、という見方があり、それが売りを誘う展開となり、ある種の金融不安的な要素となっていました。年末までの資金繰りが厳しいことは前々からLIBOR金利が跳ね上がっていることを注視してきましたが、やはり銀行間取引で貸し渋りが起こっており、それに対して中央銀行が異例の資金供給に乗り出すということ、つまりそれくらいマネーマーケットの情勢が厳しいということの裏返しとなりました。大体邦銀にサブプライム対策基金を要請するくらいですから、如何に欧米銀が厳しい状況にあるか想像に難くないところだと思われます。大規模な資金供給に関しては昨日為替サイドで話題になっており、これでGLOBEXが堅調に推移していたことから、昨日押し目を買い進んだ向きが今朝方のNY市場の動向に失望、投げ売りが一気に朝方のSGX225先物市場から出され、現物にも金融株中心に出されていた感じです。



あとは、デルタヘッジの話です。ヘラタイムには瞬間ついにITMとなったプット15,500円のデルタが次第に拡大していく展開ではやはりプットの売り方のデルタヘッジが出されていた感じです。この権利行使価格の建玉に関しては個人向け先物系証券の新規売りが目立っていましたが、ここ2日某欧州系が新規売りに回っていた可能性があり、225でもNETで売り上位に入っていました。従って、こういった業者のデルタヘッジが出された可能性があり、それを狙った思惑売買も出されたものと思われます。ある意味仕手相場の様相でした。


225オプション12月限 プット15,500円のデルタ推移


12P155 デルタ


デルタ(原資産価格の変化に対するオプションプレミアムの変化額、GSのeワラントのページ が分かりやすいです、ワラントを225オプションとして置き換えて考えてください)が拡大すればするほどプレミアムの動きは原資産(225先物)価格に連動しやすくなりますので、売り方にしていけば15,500円に行けばいくほどデルタが拡大してますます加速度的に損失回避のヘッジ売りに迫られます。そういった売りが引けに掛けて大きく出されていった感じです。この間10月限のときはコール17,500円を狙いにデルタヘッジの買いで急騰しましたが、今回はこの逆でした。ただ、16,500円方向に行ったか、15,500円方向に行ったかの分水嶺は昨日のNY市場だったことは否めず、(相場にタラレバは厳禁ですが)仮にCME225先物が大幅高で帰ってきた場合には165を試すこともありえたわけで、まさにこの点に関しては際どいところではなかったかと思われます。



さて、明日のSQはどうなるでしょうか。その前にまずはリーマン決算を控えたNY市場ですね。



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