下半期相場入り・・・短観を好感・アイランド解消
今日の東京株式市場は日銀短観を受けて足元の業況の好調さが確認され、買われる展開となりました。
今日の指数:
日経平均 16,254.29(+126.71)円
TOPIX 1,625.12(+14.39)
Vol. 160640万株
225先物 16,290(+190)円
225mini 16,295(+190)円
日経JASDAQ指数 2,199.16(+2.01)円
今日の相場、ちょっと目先高値警戒感があるような感じの引け味でした。
先週末のNY市場は結局のところ利食い売りとなったようです。4日続伸し、DJIAが終値ベースの史上最高値を更新したことからいったん利益確定売りの動きが出るのもやむなしといったところでしょうか。CME225先物の清算値は大証比10円高の16,110円となりました。
市場筋による非公式の寄り付き前の外資系証券の売買注文動向は差し引き240万株の買い越し、金額ベースでは売り越しとの観測となりました。寄り付き前に注目されていた日銀短観の内容は、
大規模製造業業況判断DI・・・+24(+3ポイント改善)
となりました。市場コンセンサスのレンジが+18~+22と予想されていましたので、これで国内のマクロ指標に関する警戒感が薄れたことから買い安心感が広がったということになります。日銀短観については業種別や、規模別などいろいろな調査内容がありますので、日銀のサイト
を見てみると良いかと思います。
寄り付きは16,150円台後半で始まり、先週末終値より40円ほどギャップアップしての始まりとなりました。その後も戻り売りをこなしながら上値指向の展開となり、16,200円台に乗せて値を固めていく動きとなりました。その後、9時57分あたりに先物に大口買いが入り裁定買いを誘い一段高をうかがう形になりました。
9時57分あたりの先物の歩み値
9:55 16,230@162枚
9:57 16,240@200枚+130枚
9:58 16,250@200枚
9:58 16,260@100枚
その後も断続的に買いが入り16,280円まで買われる展開となりました。その後は戻り売りと買いが交錯するも下値を切り上げていきました。16,300円に1,300枚程度の板があり、これは前場の段階では破ることはできませんでした。
225先物の日中足
昼休みの立会外バスケット取引はおよそ205億円成立し、デルタは「フラット(売り買い均衡)」との観測になりました。後場寄りは先物で20円程度のギャップアップで始まりました。その後、先物では16,300円にある1,300枚程度の大きな売り板を取りにいけるかが焦点となりました。そして、12時34分にこの板が崩れていきます。
12:34 16,300@100枚・200枚・300枚・100枚・108枚
こんな感じで大口ロットでの買いが断続的に入り、1,000枚超の売り板を取って、さらに上値指向の動きとなり、13時4分に16,350円まで買われました。このあたりにはTOPIXベースで100銘柄への買いバスケット観測が出ているとのことから、買い直しの動きがあったような感じです。しかし、さすがにこのあたりの水準まで騰がってくると目先の高値警戒感も浮上したり、9月7日に形成したアイランド・リバーサルのギャップを埋めたことへの達成感などから高値もみ合いの形となりました。引けに掛けては16,300円近辺での攻防となりましたが、大引けに225型でバスケット売りが入り40円弱下げて終えました。
9983 ファーストリテイリング
の歩み値
14:59 100@11,320
14:59 100@11,300
15:00 63,300@11,250
こんな形で1ショット50円下げていきました。そういったものが225ベースで入り、引け味は伸び悩み、後場の安値でした。
今日の相場は、日銀短観を受けて各市場がどう動くか、ということがテーマとなりました。
・為替市場・・・日銀短観が事前予想よりも堅調な内容となり、一時的に買われるも、早期利上げはないとの見通しに変化なく売り戻し
・債券市場・・・強い短観を受けて景況感に安心感が広がったことで債券が売られ、金利上昇(長期金利は1.740%台に乗せる)
こういった他の金融市場の流れを受けて、値嵩ハイテク・輸出関連が値を飛ばす形になりました。また、「株先売り/債先買い」のポジションをアンワインドする動きが見られました。そして、個別では、内需よりも円安メリットのある優良株が新高値を取りに行く動きが鮮明となりました。例えば、4063 信越化学
、4901 富士フィルム
、7267 ホンダ
、7269 スズキ
、7731 ニコン
、7751 キヤノン
などが高値を奪取する動きになりました。
こういったことをみていると、いよいよ5月からの調整段階も末期を迎え、「業績相場」への移行といった考え方が出来ます。これまで、CPIショックやら、機械受注ショックやらで長期金利が低下、株式も調整を余儀なくされ、「業績相場」とは反対の方向に相場が進んでいったのですが、今日の動きを見ているといよいよ長期金利も底打ちし、金利上昇とともに株高になっているということで業績相場的な動きになっていました。
長期金利の日足チャート
しかし、依然として高値からかなり距離がある銘柄も多々あります。信用残などの需給的な要因や業績があまりよろしくないところなど個別によって理由はばらばらなのですが、このあたり二極化の動きがあるような気がします。
但し、穿った見方をすると、この相場、好調なNY市場からの出遅れ修正としての株高という側面も考えられます。つまり、写真相場的な雰囲気も感じられるということです。今日の場合は短観で動意付いたわけですが、DJIAが高値を取っていく段階で日本株への出遅れ修正的な買いという側面もあります。従って、今週発表されるISM景気指数や雇用統計など重要指標を受けて、NY市場の動きに追随するようだと少し注意が必要かもしれません。
また、需給的には今後上値を追っていく段階で出来高・売買代金が増加していくかもみていく必要があります。これより上の相場、なかなか今の出来高・売買代金ではきつい面もあります。そのあたりはかつて1日3兆円の売買代金をしていながらなかなか抜け切れなかった価格帯でもあったりしますので、現物主導でそこまですんなりもっていけるかということに関しては現状の商いの水準では疑問を感じます。戻り売り圧力が大きいとされる16,500円とか、17,000円とかに持っていくためには、それなりに全員参加型相場に持っていかなければならないわけで、そのためには、委託売買シェアの大きい個人及び外国人が好む銘柄の動向には注視しておく必要がありそうですね。
そういった意味で、個人の指標銘柄である9984 ソフトバンク
の動きには注視しておく必要があろうかと思います。今日は利食い売りで下げましたが、先週末につくった陽線がこれまでの弱気相場の終了を示唆するものなのかどうかを見極める必要がありそうです。
ソフトバンクの日足チャート
余談ですが、昨日ディープインパクトが凱旋門賞で3着に敗れて、6947 図研 が売り気配で始まったのも印象的な相場でした。
それでは。