スオミの話をしよう | p・rhyth・m~映画を語る~

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英題:ALL ABOUT SUOMI
監督:三谷幸喜
キャスト:長澤まさみ/西島秀俊/松坂桃李
配給:東宝
公開:2024年9月
時間:114分




男はロマンティストでエゴイスト,女性は自分を愛しく思ってくれる男の理想に近づこうとする,そんな関係性を“愛”だと考える古い日本人気質は,令和の時代になっても旧態依然と存在している感じがする。それが全てではないことも,ジェンダーレスの時代にそぐわないことも,頭では判っていて,でもDNAレベルで拭えない感情がそこにはある。

今夜紹介するのは,そんな男女を題材とした公開中の『スオミの話をしよう』。『記憶にございません!』以来5年ぶりとなる三谷幸喜監督作品だ。計算された公開時期と直前のメディア戦略もあってか,さすがの初週興行1位。

刑事の草野圭吾(西島秀俊)と小磯杜夫(瀬戸康史)が訪れたのは,著名な詩人・寒川しずお(坂東彌十郎)の豪邸。寒川の世話をする乙骨(戸塚純貴)によると,寒川の新妻で,草野の元妻であるスオミ(長澤まさみ)が昨日から行方不明だというのだ。草野はすぐに正式な捜査を開始すべきだと主張するが,大事にしたくないと寒川は聞き入れない。驚いたことに寒川邸の庭師として働いていたのは,スオミの1番目の夫で元体育教師の魚山大吉(遠藤憲一)だった。

寒川邸には,スオミの別れた元夫たちが続々と集まって来る。1番目の夫・魚山,2番目の夫でYouTuberの十勝左衛門(松坂桃李),3番目の夫で刑事の宇賀神守(小林隆),そして4番目の草野に現夫の寒川と揃うと,誰が一番スオミを愛していたか,スオミに愛されていたかと,スオミの安否そっちのけで熱く語り合う男たち。ところが,彼らの思い出の中のスオミはほとんど共通点がなく,まるで別人のようだったのだが…。

苦言や酷評も多いが,三谷作品ファン,長澤まさみファンには最高のエンターテインメント作品。だって今,このキャストを揃えてこんなコメディ映画を作れる監督って,他に思いつかないでしょ? ひと目で三谷作品って判る脚本と構成の妙味,キャストの全てに見せ場を作る上手さは,この国のトップ・エンタメと言って過言ではないはず。個人的には薊を演じた宮澤エマが美味しい。

逆に,三谷作品ファンでも長澤ファンでもない人には,変な期待で観ないでほしい。TVドラマ脚本と違って,三谷映画ってコメディだからね! 感動するためじゃなくって,前のめりに楽しむために観るって気持ちでチケット買ってほしいなって思う。


映画クタ評:★★★★


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