異動辞令は音楽隊! | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:内田英治
キャスト:阿部寛/清野菜名/磯村勇斗
配給:ギャガ
公開:2022年8月
時間:119分




阿部寛58歳。俳優としてキャリアを重ね,最近は『とんび』のヤスのような,すごく優しいのに不器用で粗野な,いわゆる“昭和の親父”がハマり役になってきた感がある。そんな人間臭い姿にどこが愛しさと懐かしさをもって見てしまう自分がいる。

さて,今夜紹介するのは,そんな阿部寛の去年の作品から『異動辞令は音楽隊!』。監督は『ミッドナイトスワン』で第44回・日本アカデミー賞2冠を果たした内田英治。

犯罪撲滅に人生の全てを捧げてきた捜査一課の鬼刑事・成瀬司(阿部寛)。だが,コンプライアンスが重視される今の時代に,違法スレスレの捜査や組織を乱す個人プレイ,上層部への反発や部下への高圧的な振る舞いで,周囲から完全に浮いていた。相次ぐ“アポ電強盗事件”を一緒に担当する部下の坂本(磯村勇斗)からも,捜査のやり方を厳しく非難される。そしてついに,県警本部長・五十嵐(光石研)が彼に命じた異動先は,まさかの“警察音楽隊”。事実上の左遷だった。しかも,小学生の頃に町内会で和太鼓を演奏していたというだけで,ドラム奏者に任命される。

すっかりフテ腐れ,すぐに刑事に戻れると信じて,練習にも気もそぞろ,隊員たちとも険悪な関係に陥る成瀬。だが,いても堪らず捜査会議に口を出そうとして,今や自分は捜査本部にとって全く無用な存在だと思い知る。プライベートでも随分前に離婚。母の幸子(倍賞美津子)は痴呆気味,元妻と暮らす高校生の娘・法子(見上愛)にはラインをブロックされるありさま。失意の成瀬に手を差し伸べたのは,隊長の沢田(酒向芳)や来島(清野菜名),広岡(渋川清彦)など,“はぐれ者集団”の隊員たちだった。音楽隊の演奏で救われる人たちがいることを知り,練習に励む成瀬と隊員たち。ところが,彼らの心と音色が美しいハーモニーを奏で始めた時,本部長から音楽隊の廃止が宣告されるのだったが…。

判りやすくて面白くて,ちょっと寂しくて,でもハートフルなストーリーに,最後まで夢中にさせられる。

ドラムの阿部寛も,トランペットの清野菜名も共に初心者で,何ヶ月もの練習をして撮影に臨んだという。技術面も表情も考え方も変化していく隊員たちの表情や様子が,キチンと演技から滲み出てくる物語に,ベタだけど熱い思いを共有できる1本だ。


映画クタ評:★★★★


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