ミッドナイトスワン | p・rhyth・m~映画を語る~

p・rhyth・m~映画を語る~

メインブログ【くた★むび】



英題:Midnight Swan
監督:内田英治
キャスト:草彅剛/服部樹咲/田中俊介
配給:キノフィルムズ
公開:2020年9月
時間:124分




今夜紹介するのは,草彅剛がトランスジェンダーの主人公を熱演し話題となったヒューマン・ドラマ『ミッドナイトスワン』。『下衆の愛』(2016年)『獣道』(2017年・サードウィンドウフィルムズ)『グレイトフルデッド』(2014年・アークエンタテインメント)と,バイオレンスやスリラーなど,ジャンル系の意欲作を撮り続けてきたブラジル・リオデジャネイロ出身の内田監督が,手塩にかけて脚本を執筆した渾身の1作。人間性を描く作品を作りたいと,もともと持っていたトランスジェンダーの脚本と,別にあったバレエダンサーの脚本をミックスし構想を仕上げたものの,企画が通るのに5年かかったという。

新宿のショーパブ“スイートピー”で,メイクをしてステージ衣装を身に着けたトランスジェンダーの凪沙(草彅剛)が働いている。洋子ママ(田口トモロヲ)が,白鳥に扮した凪沙,瑞貴(田中俊介),キャンディ(吉村界人),アキナ(真田怜臣)をステージに呼び込む。一方,広島のアパートでは,泥酔した早織(水川あさみ)が住人に因縁をつけていた。娘・一果(服部樹咲)がなだめようとするが,早織は一果を激しく殴打する。

そうして育児放棄された親戚の少女・一果を預かることになる凪沙。待ち合わせ場所に現れた一果に「好きで預かるわけじゃない」と言い放つ。一果ももまた,叔父だと思っていた凪沙の姿に戸惑いを隠せない。互いに理解し合えないまま始まった奇妙な共同生活。そんな中,街で偶然バレエのレッスンを目にして強く惹かれる一果。バレエの先生・実花(真飛聖)に呼び止められ,レッスンを始める。同じバレエ教室のりん(上野鈴華)と友人になり,めきめきとバレエの才能を開花させていく一果。そんな一果の才能を知り,一果のために生きようと思った凪沙には「母になりたい」という感情が芽生えていたのだったが…。

ぎこちない共同生活の中で徐々に絆を結んでいく凪沙と一果。タイトルの“真夜中の白鳥”は,物語の中で,深い眼差しで毅然と佇む。そこには,演じることに真摯に向き合ってきた表現者・草彅剛と,美しく生きようと必死に泳ぐ孤高の白鳥=凪沙の姿が見事に投影される。

第44回・日本アカデミー賞では最優秀作品賞と最優秀主演男優賞の2冠を獲得。“親と子”とは? “母性”とは? と,考えさせられる1本だ。


映画クタ評:★★★★


右矢印田口トモロヲ作品まとめ

右矢印平山祐介作品まとめ

右矢印草彅剛作品まとめ

右矢印水川あさみ作品まとめ

右矢印日本アカデミー賞受賞作品まとめ