ナイル殺人事件 | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Death on the Nile
監督:ケネス・ブラナー
キャスト:ケネス・ブラナー/ガル・ガドット/アーミー・ハマー
配給:20世紀スタジオ/ウォルト・ディズニー・ジャパン
公開:2022年2月
時間:127分




今夜紹介するのは,ケネス・ブラナーが監督・主演を務めた『オリエント急行殺人事件』から5年ぶりの続編『ナイル殺人事件』。アガサ・クリスティが1937年に発表した原作小説『ナイルに死す』の映画化は,1978年以来となる。

1937年のロンドン。ナイトクラブを訪れた名探偵ポアロ(ケネス・ブラナー)は,やり手の若い女性ロザリー(レティーシャ・ライト)のマネージメントする歌手サロメ・オッタボーン(ソフィー・オコネドー)に聴き惚れる。サロメの歌に合わせてホールで情熱的に踊るジャクリーン(エマ・マッキー)とサイモン(アーミー・ハマー)。やがてクラブに現れたのは,莫大な遺産を相続し注目を浴びる女性リネット・リッジウェイ(ガル・ガドット)。ジャクリーンは婚約者のサイモンを,友人のリネットに紹介する。

6週間後,休暇でエジプトに来ていたポアロは,ピラミッドで偶然,友人のブーク(トム・ベイトマン)に会う。ブークとその母ユーフェミア(アネット・ベニング)が招待されていた結婚パーティに同行することになったポアロは,そこでリネットがサイモンと結婚したことを知る。ところが,リネットへの怒りが収まらないジャクリーンも会場に姿を見せ,パーティは台無しに。2日後夫妻は,豪華クルーズ船で観光地を巡るプランに変更し,招待客たちを“カルナック号”へと誘う。しかし,またしてもジャクリーンの姿が。やがて船内で殺人が起こり,乗客の誰もが動機を持ちうる難解な事件の解明に乗り出したポアロだったが…。

冒頭,モノクロで始まる1914年のベルギーに,「映画間違えちゃったかな?」と思わされつつ,実はこれがポワロの大袈裟な口髭の始まり。『LOGAN/ローガン』や『オリエント急行殺人事件』の脚本家マイケル・グリーンが,アガサ・クリスティの原作に加筆したと言われる”若き日のポワロ”についてのエピソードは,主人公のキャラに深みを与え,見る者に“ポワロの人間らしさ”を植え付けてくれる。

“人間らしさ”は,“愛”が起因となる憧憬・嫉妬・激情・略奪・殺意・後悔といった様々な物語を生み出す。冷静なポワロ自身もその“愛”の中に飲み込まれていく。そして,登場するキャラたち全員の,“愛”を手に入れようとして,その思いを遂げられずに苦しむロマンティックなストーリーが,推理サスペンスを膨らませる秀作。エンディングの1カットまで,原作へのリスペクトとケネス・ブラナー監督のポアロ愛に溢れる1本だ。

ちなみにこのシリーズ,第3弾の製作も発表され,すでに撮影が始まっている。第二次世界大戦後,ハロウィーンを迎えた不気味なヴェネツィアが舞台の恐ろしいミステリーで『A Haunting in Venice(原題)』,和訳すると「ヴェネツィアのたたり」って感じか。原作は,1969年に発表された『ハロウィーン・パーティ』。公開が待ち遠しい。


映画クタ評:★★★★★


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◆シリーズ一覧◆

オリエント急行殺人事件』(2017年)