武士の一分 | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:山田洋次
キャスト:木村拓哉/檀れい/笹野高史
配給:松竹
公開:2006年12月
時間:121分




91歳となる巨匠・山田洋次監督。半世紀以上に渡り,年齢とほぼ同じ数の映画を世に送り出してきた中でも『男はつらいよ』シリーズはあまりにも有名だ。しかし,ファミリーや人情をテーマにした作品だけでなく,様々なアプローチで多彩に,意欲的に作品を作り出してきた“名匠”とも言える。

そんな山田監督作品から今夜は,『たそがれ清兵衛』(2002年・松竹)『隠し剣 鬼の爪』(2004年・松竹)に続く藤沢周平原作“時代劇3部作”の完結作『武士の一分(いちぶん)』を紹介。主演に木村拓哉,妻役としてスクリーンデビューした宝塚出身の檀れいというキャスティングも話題となった。『武士の一分』とは,「侍が命を懸けて守らなければならない名誉や面目」の意味。

東北の小藩である海坂藩に仕える30石の下級武士・三村新之丞(木村拓哉)は,城下の木部道場で剣術を極め藩校では秀才と言われながらも,その務めは藩主の毒見役。不本意な仕事ではあったが,美しく気立てのいい妻の加世(檀れい)と慎ましくも幸せに暮らしていた。ある日,新之丞は藩主の昼食に供されたつぶ貝の毒にあたって倒れる。激しい痛みに意識を失い高熱にうなされ続け,からくも一命は取りとめたものの失明してしまう。

絶望し,死すら考える新之丞だが,加世の献身的な支えもあり思い留まる。しかし,武士としての勤めを果たせなくなったため,今後の暮らし向きについては不安が募る一方だった。親戚一同は会議を開き,家禄の半分でも据え置いてもらえるよう,嫁入り前から顔見知りだった上級武士の島田(坂東三津五郎)に頼みに行けと加世に命じる。やがて城から,三村家の家名は存続し家禄もそのまま,という寛大な沙汰が下されるのだったが…。

公開当時34歳のキムタク。当時はいわゆる“勢いのあるキムタクのヒット作品”の1つとして観た記憶しかなかったが,この記事を書くために改めて見直した三村新之丞はひと味違った。16年の間に体験した見る側の“人生の機微”を,その横顔に投影しながら,いわゆる“本格時代劇”に浸ることができたのだ。

キムタク時代劇と言えば,また違ったテイストの『無限の住人』も評価できる作品だった。そして,いよいよ来月公開となる大友啓史監督✕古沢良太脚本の『THE LEGEND & BUTTERFLY』へと期待が大いに膨らんでいる。


映画クタ評:★★★★


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『武士の一分』
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