博士と彼女のセオリー | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:The Theory of Everything
監督:ジェームズ・マーシュ
キャスト:エディ・レッドメイン/フェリシティ・ジョーンズ/チャーリー・コックス
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ/フォーカス・フィーチャーズ/東宝東和
公開:2015年3月
時間:124分




イギリスの理論物理学者スティーヴン・ホーキング。“量子宇宙論”という宇宙誕生直後の初期宇宙を扱う宇宙論を研究しながら,世界的ベストセラー『ホーキング、宇宙を語る(A Brief History of Time)』など一般人向けのサイエンス・ライターとしても知られた車椅子の物理学者だ。

今夜は,そのホーキング博士と彼の元妻であるジェーン・ホーキングの関係を描き出した伝記映画『博士と彼女のセオリー』を紹介。原題の『The Theory of Everything』は「万物の理論」の意味。監督は,ドキュメンタリー映画を得意とするイギリスの映画監督ジェームズ・マーシュ。第87回アカデミー賞では5部門にノミネートされ,ホーキング博士を演じたエディ・レッドメインが主演男優賞を受賞している。

1963年のイギリス。名門ケンブリッジ大学大学院で理論物理学を研究する天才学生スティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)は,パーティで出逢った文学を学ぶジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と恋に落ちる。ところが,その頃からスティーヴンの体調に異変が顯れ始め,やがてALS(筋萎縮性側索硬化症)のため余命2年と宣告されてしまう。将来を悲観し,ジェーンとの未来も諦めるスティーヴンだったが,ジェーンはひるむことなく,周囲の反対を押し切ってスティーヴンと結婚する道を選ぶ。

結婚2年目には長男も誕生。自分たちに与えられた時間がどれほど貴重かを知る2人は,歳月を重ねるごとに増す試練に強固な愛の力で立ち向かっていくが,時には壁に突き当たり,限界を感じ,無力さに打ちひしがれるのだった。それでも,刻々と悪化するALSとの闘病生活の中,スティーヴンは持ち前のユーモアで乗り越え,精力的に最先端の研究を重ね,講演活動や執筆活動にも意欲的に取り組んでいくのだったが…。

決して夫婦愛の美談ではない。ALSを発症し肉体の自由を徐々に奪われる中で“時間”との闘いを強いられるスティーヴンと,夫の介護と子育てに追われるジェーン。2人が選んだ方法は,もう1人の男性を家庭に迎え入れること。そうして登場するジョナサン(チャーリー・コックス)は,スティーヴンの介護とともに,ジェーンの精神的な支えとなっていく。夫婦2人で安定させられなくなった“宇宙”を3人で安定させせいく三角関係の“セオリー”を「仕方のない現実」として受け入れざるをえないスティーヴンの口惜しさと覚悟を,少ない表情筋の動きで表現するレッドメインの演技が凄い。そしてそんな彼の演技が,物語にリアリティを吹き込み,見る者を夢中にさせる。

作品を鑑賞後に涙し,看護師がその涙を拭き取ったと報じられたホーキング博士。余命2年と言われてから実に50年以上に渡り研究活動を続けた。2018年にケンブリッジの自宅で76歳の生涯を終えた彼の遺灰は,アイザック・ニュートンら著名な科学者の墓の近くに埋葬されている。


映画クタ評:★★★★


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『博士と彼女のセオリー』
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