三大怪獣/地球最大の決戦 | p・rhyth・m~映画を語る~

p・rhyth・m~映画を語る~

メインブログ【くた★むび】



英題:Ghidorah, the Three-Headed Monster
監督:本多猪四郎(本編)/円谷英二(特撮)
キャスト:夏木陽介/小泉博/星由里子
配給:東宝
公開:1964年12月
時間:93分




モスラ対ゴジラ』から8ヶ月後に公開されたシリーズ第5弾。シリーズ最大の敵役で,根強い人気を誇る怪獣“キングギドラ”のスクリーンデビュー作品となる。シリーズで初めてタイトルから『ゴジラ』の名が外れた作品でもある。タイトルの『三大怪獣』とは,地球の三大怪獣であるゴジラ・ラドン・モスラのこと。

実は,12月公開予定だった黒澤明監督の『赤ひげ』の撮影が長引いたため,正月興行用に急遽制作された作品。第4作目までとは立場を変え,ゴジラが初めて善玉として描かれたことで,常に“人類の脅威”として描かれてきたゴジラの作品姿勢も転機を迎え,以降のゴジラシリーズは怪獣同士の格闘劇が主になることとなった。監督は引き続き本多猪四郎&円谷英二。

異常気象に見舞われた日本。1月にもかかわらず猛暑が続き,連夜流星群が地球に飛来する中,1つの巨大な隕石が黒部ダム付近へ落下する。その頃,警視庁の進藤刑事(夏木陽介)は極秘来日するセルジナ公国のサルノ王女(若林映子)の護衛を命じられたが,彼女を乗せたチャーター機は暗殺者の仕掛けた爆弾によって墜落するのだった。やがて,そのサルノ王女にそっくりな女性が東京に現れ,金星人を名乗って地球の危機を訴える。

一方,進藤刑事の妹で,ラジオ番組『20世紀の神話』の取材班である直子(星由里子)は,金星人と名乗る女性の噂を聞き,彼女にアプローチを試みる。やがて,自称金星人の予言通りに阿蘇山からラドンが,北極海からはゴジラが眠りから覚め行動を開始。さらに,村井助教授(小泉博)の調査していた黒部の隕石から,かつて金星の高度な文明を滅ぼした宇宙怪獣キングギドラも出現し,地球は大混乱に陥るのだったが…。

キングギドラのデビュー作としての記念碑的作品ではあるが,娯楽に走りすぎた感は,今見るとやや閉口してしまう。サルノ王女の『ローマの休日』チックな演出も,なぜ10年後に? という気持ちになってしまうのだ。

ちなみにこのサルノ王女のフルネームは“マウス・ドゥリナ・サルノ”。「まあ,素通りなさるの?」という言葉を引っかけた言葉遊びになっている。

時代的背景を考えると,合成技術の研鑽や,壊される“東京タワー”や“松本城”や“横浜マリンタワー”のシーンは見どころ。

共演は他に,志村喬,平田昭彦,ザ・ピーナッツ など。


映画クタ評:★★★★


右矢印『ゴジラ』シリーズ作品まとめ