ジャンゴ/繋がれざる者 | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Django Unchained
監督:クエンティン・タランティーノ
キャスト:ジェイミー・フォックス/クリストフ・ヴァルツ/レオナルド・ディカプリオ
配給:ワインスタイン・カンパニー/コロンビア映画/ソニー・ピクチャーズ
公開:2013年3月
時間:165分




今夜紹介するのは,現在,タランティーノ作品中で最高収益記録を持つ『ジャンゴ/繋がれざる者』。南北戦争直前の黒人奴隷制を真正面から取り上げつつ,マカロニウエスタンへの愛を爆発させた痛快バイオレンス・アクション作品だ。

イングロリアス・バスターズ』のプロモーションで来日した際,滞在先のホテルで,大量に買い込んだ西部劇映画のサントラを聴きながら,この作品の最初のシーンのアイデアが生まれ,ホテルのメモ用紙に書き始めたというタランティーノ監督。原題の『Django Unchained』は,1966年のセルジオ・コルブッチ監督による『続・荒野の用心棒(原題:Django)』の他,1959年のイタリア映画『ヘラクレスの逆襲(英題:Hercules Unchained)』,1970年のアメリカ映画『Angel Unchained』が元と言われている。

南北戦争勃発の直前,奴隷制度をめぐる対立が色濃くなる1859年のアメリカ南部。賞金稼ぎのドイツ人歯科医キング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)は,お尋ね者3兄弟の顔を知る黒人奴隷ジャンゴ(ジェイミー・フォックス)を見つけると,彼を鎖から解き放ち,3兄弟の追跡に繰り出す。標的の抹殺には手段を選ばず飄々としているシュルツだが,南部の白人達に奇異な目で見られながらもジャンゴを白人と対等に扱う。3兄弟を仕留めた後,ジャンゴの銃の才能に気づいたシュルツは,彼を相棒として銃の扱い方と賞金稼ぎという仕事を教え込むのだった。

しかし,そんなジャンゴが真に目指すのは,奴隷市場で生き別れた最愛の妻ブルームヒルダ(ケリー・ワシントン)のもと。やがて,彼女が極悪非道な農園領主カルビン・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)に売り飛ばされたことを突き止めたジャンゴとシュルツ。彼女を助け出すために特に黒人差別が酷いミシシッピへと向かった2人は,キャンディに近づくため,ある周到な作戦を準備するのだったが…。

アメリカが避けてきた奴隷問題を,史実でなくジャンル映画として,それも最もアメリカ的なウエスタン作品にし見せたタランティーノ監督の意図が,黒人へ向けられる視線の痛みと,肉体的な痛みを通して伝わってくる秀作。

ジャンゴとシュルツのバディ感とロード感,ディカプリオ演じるキャンディのクセ者っぽさも上手いが,個人的には,キャンディ一家の老僕・スティーヴン役のサミュエル・L・ジャクソンが最高に美味。3年後の『ヘイトフル・エイト』では,同じく西部劇だが作風も見た目も全く異なる主役を張った。

第85回アカデミー賞では,クリストフ・ヴァルツが『イングロリアス・バスターズ』に続き2度目の助演男優賞を,また,タランティーノ監督も『パルプ・フィクション』(1994年・ミラマックス)以来2度目の脚本賞を受賞している。


映画クタ評:★★★★


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『ジャンゴ/繋がれざる者』
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