累 -かさね- | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:佐藤祐市
キャスト:土屋太鳳/芳根京子/横山裕
配給:東宝
公開:2018年9月
時間:112分




茨城県の鬼怒川沿岸の地名とされる“累ヶ淵(かさねがふち)”。江戸時代には,この地を舞台とした累(るい;かさね)という女性の怨霊とその除霊をめぐる物語が広く流布したという。醜い女が醜さゆえに殺され,霊となって祟るというこの怪談に着想を得,漫画家・松浦だるまが連載デビュー作としてヒットさせたのが,今夜紹介する『累 -かさね-』の原作。

容姿にコンプレックスがありながらも天才的な演技力を持つヒロインを主人公に,母の形見の口紅に宿る不思議な力を利用して演劇界でのし上がろうする欲望が辿る顛末が,彼女と禁断の契約を交わした美貌の女優との対決を軸に描き出されていく愛憎サスペンスだ。監督は『キサラギ』『ストロベリーナイト』(2013年・東宝)の佐藤祐市。

今は亡き伝説の女優・淵透世(檀れい)の娘・累(芳根京子)は,母親ゆずりの天才的な演技力を持って生まれながらも,容姿は母に似ず,小学生の時に諍いで出来た右頬の大きな傷跡にも強いコンプレックスを抱き,苦しめられてきた。そんな累に母が遺した1本の口紅。その口紅には,キスした相手の顔を一定時間奪い取ることができる不思議な力があったのだつた。

ある日,累の前に母を知る謎の男・羽生田釿互(浅野忠信)が現われ,彼女に丹沢ニナ(土屋太鳳)という女優を紹介する。ニナは美しい容姿を持ちながらも,ある理由ゆえに芽が出ずにいた。女優への憧れが捨てきれない累と,女優として大成することに異常な執念を募らせるニナ。互いに自分に足りない部分を埋めるように導かれた2人は,口紅の力を借りて入れ替わることを決断する。ニナの美貌と累の演技力を兼ね備えた完璧な女優“丹沢ニナ”は一躍脚光を浴び始め,2人の欲求は満たされていく。しかし累が恋に落ちた演出家・烏合(横山裕)を巡り,秘密の共同作業に亀裂が生じるのだったが…。

愛と狂気を描く刺激的な“ダークシンデレラストーリー”。原作コミックとは少し異なるテイストで映し出されていく立場の逆転や,その裏に潜む過去と現在の人々の思惑が,サスペンスフルに見る者を虜にしていく。個人的には好きな1本だ。


映画クタ評:★★★★


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