マチネの終わりに | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:西谷弘
キャスト:福山雅治/石田ゆり子/伊勢谷友介
配給:東宝
公開:2019年11月
時間:123分




今夜紹介するのは,芥川賞作家・平野啓一郎による2016年発売のベストセラー小説の映画化。福山雅治&石田ゆり子の主演で紡がれる“大人のラブストーリー”だ。監督は『真夏の方程式』『昼顔』(2017年・東宝)の西谷弘。

タイトルの『マチネ(matinee)』とは「昼の公演」の意味。ちなみに「夜の公演」はソワレ(soiree)と言う。マチネの終わる度に変化していく2人の人生と,変わることのない想いが,静かな熱量を秘めて描き出されていく。

2013年11月。天才クラシックギタリストの蒔野聡史(福山雅治)は,その名を世界に轟かせる一方,キャリアの節目を迎える中で自分の音楽に迷いが生じて苦悩を深めていた。ある日,公演を終えた彼は,パリで活躍するジャーナリストの小峰洋子(石田ゆり子)と出会う。共に40代という独特で繊細な年齢を迎えていた2人は,出会った瞬間から強く惹かれ合い,心を通わせてゆく。洋子に婚約者のリチャード新藤(伊勢谷友介)がいることを知りながらも,高まる想いを抑えきれない蒔野。

翌年,蒔野はマドリードでのコンサートの前にパリに赴き,洋子の前で素直な気持ちを言葉にする。しかし,招待したマチネの座席に洋子が姿を見せることはなかった。それぞれをとりまく目まぐるしい現実は,2人の間に思わぬ障害をもたらす。ギターの師である祖父江誠一(古谷一行)や,蒔野のマネージャー・三谷早苗(桜井ユキ)の想いが絡み合い,様々なすれ違いを生みながら時が流れていく。そうして6年目の蒔野と洋子が辿り着いた愛の結末とは…。

福山ファンならきっと,あまり見ることのないクラシックギターを弾く彼に萌え,マネージャー・三谷に苛立ちを覚えるだろう。しかし,この三谷の存在が,物語に深みを与えるアクセントとなっている。

洋子と出会った夜に蒔野が言う,
人は,変えられるのは
未来だけだと思い込んでるけど
実際は,常に未来が
過去を変えているんだよ
変えられるとも言えるし
変わってしまうとも言える──

という言葉を噛み締めつつ,ラストシーンの後に続く物語を幾重にも膨らませてくれる,個人的には好きな1本だ。


映画クタ評:★★★★


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