決算!忠臣蔵 | p・rhyth・m~映画を語る~

p・rhyth・m~映画を語る~

メインブログ【くた★むび】



監督:中村義洋
キャスト:堤真一/岡村隆史/濱田岳
配給:松竹
公開:2019年11月
時間:125分




江戸時代中期の1701年,江戸城・松の廊下で,赤穂藩藩主・浅野内匠頭が高家の吉良上野介に斬りつけた。江戸城では,幕府が朝廷の使者を接待している真っ最中だったため,場所柄もわきまえず刃傷に及んだ内匠頭に対し,五代将軍徳川綱吉は激怒し,内匠頭は即日切腹。翌年の12月14日未明に,この裁定を不服とする筆頭家老・大石内蔵助をはじめとする赤穂浪士47名が本所・吉良邸に討ち入り,亡き主君の仇討ちを果たした。これを“赤穂事件”と呼び,直後から美談として脚色され『忠臣蔵』のタイトルで,度々,人形浄瑠璃や歌舞伎の演目とされてきた。その人気は現代でも,映画やTVドラマに取り上げられるほどだ。

そんな“忠臣蔵”の物語を予算という切り口で読み解いたのが,東大史料編纂所教授・山本博文の著書『「忠臣蔵」の決算書』。これを原作として『殿、利息でござる!』『忍びの国』の中村義洋監督が,自ら脚本も手掛け映画化した痛快時代劇エンタテインメント『決算!忠臣蔵』を今夜は紹介。亡き藩主の仇を討つため討ち入りの準備を進めるが,予算が限られているという厳しい現実に直面した大石内蔵助と勘定方・矢頭長助の悪戦苦闘の行方が,大石が実際に遺した詳細な会計帳簿をもとに,軽妙に描き出されていく。

当時,ほぼ全国的に1杯=16文だった“かけ蕎麦”を現代の480円に換算し,1文=30円の基準で,全ての金額が円単位に置き換えられていく。全編が関西弁というのも,土地柄を考えれば当然なのに,今までの作品になかったかも? と新鮮に感じる。

元禄14年(1701年)3月14日。清廉潔白な赤穂藩藩主・浅野内匠頭(阿部サダヲ)は,賄賂まみれの幕府の重臣・吉良上野介の態度に腹を据えかね,江戸城・松の廊下で斬りかかる。通常なら喧嘩両成敗となるはずが,幕府が下した結論は,内匠頭の即日切腹と浅野家のお取り潰し。突然,藩主を亡くしお家断絶となった赤穂藩士たちは路頭に迷うことに。これはすなわち,江戸時代の優良企業倒産事件。現代に置き換えると,藩は会社,武士はサラリーマンということになる。

筆頭家老の大石内蔵助(堤真一)は,幼なじみで勘定方の矢頭長助(岡村隆史)の力を借りて残務整理に追われる日々。そんな中,一部の藩士が仇討ちを口にして勝手な行動に出たり,討ち入りを期待する世間のプレッシャーも高まっていく。亡き内匠頭の奥方・瑤泉院(石原さとみ)は,お輿入れの際の持参金5000両を浜方の塩問屋に貸し付け,それを元に塩田が開発され,播州赤穂の塩はお上の御用達となるほど有名になっていた。塩問屋から回収したお家再興予算は790両2朱+銀46匁9分5厘(9491万円)。しかし,お家再興の夢は断たれ,ついに内蔵助が討ち入りを決意した時,その残金は1638万円となっていたのだったが…。

同い年の竹馬の友ながら1500石(年収6900万円)の筆頭家老・内蔵助と,20石(年収185万円)の勘定方・長助のコンビが全体を引っ張る妙味。番方(=いくさ担当)も役方(=経営担当)も,藩が無くなればただの侍。しかしそれぞれの“サムライ魂”を見せる展開も味わいどころ。

ちなみに『忠臣蔵』なのに,吉良邸への討ち入りシーンはないという,奇をてらった演出も特徴的だ。

共演は他に,濱田岳,横山裕,妻夫木聡,西村まさ彦,木村祐一,鈴木福,千葉雄大,竹内結子 など,俳優やアイドルからお笑いまで超多彩。


映画クタ評:★★★★


右矢印中村義洋作品まとめ

右矢印阿部サダヲ作品まとめ

右矢印西村まさ彦作品まとめ

右矢印滝藤賢一作品まとめ

右矢印波岡一喜作品まとめ

右矢印濱田岳作品まとめ

右矢印堤真一作品まとめ

右矢印妻夫木聡作品まとめ

右矢印笹野高史作品まとめ

右矢印荒川良々作品まとめ

右矢印寺脇康文作品まとめ

右矢印堀部圭亮作品まとめ

右矢印千葉雄大作品まとめ

右矢印石原さとみ作品まとめ

右矢印竹内結子作品まとめ

右矢印鈴木福作品まとめ